日立ソフトがネットワーク上のオフィス実現サービス
「1人1台」から「1人複数台の仮想マシン」に
2007/12/11
日立ソフトウェアエンジニアリング(日立ソフト)は12月11日、仮想化技術を活用してシステム開発環境をオンデマンドで提供する「SecureOnline 統制IT基盤提供サービス」のメニューを強化した。同時に、このサービスを組み合わせ、オフィス環境を仮想的に提供する「セキュア・プロジェクト・オフィス」(SPO)の提供を開始している。
SecureOnline 統制IT基盤提供サービスは、日立ソフトのデータセンター内に仮想マシンを用意し、ミドルウェアや開発ツールなどのシステム開発環境を仮想マシン単位で、必要に応じて提供するサービスだ。実機を用意する場合に比べ、初期導入費用とスケジュールを節約できる点がメリットだ。
今回のサービス強化では、遠隔地にあるデスクトップ端末を操作できるRemote Desktop Protocol(RDP)に対応し、開発サーバだけでなくクライアントPCについても仮想環境に集約できるメニューを追加した。さらに、グループ単位でのファイル共有を可能にする「仮想ファイル共有サービス」、複数の拠点からデータベースやWebサーバ、構成管理/変更管理サーバなどを共有できる「仮想マシン共有サービス」が提供される。
SPOは、一連のサービスを活用して、「ネットワーク上にオフィスを作ってしまおう」(同社セキュリティサービス本部長 中村輝雄氏)というアイデアだ。
複数の協力会社が共同で作業するプロジェクトでは、発注元のオフィスなど、どこか1カ所に集まって作業するケースが多い。しかしこの場合、賃貸料に加え、什器類の準備やITインフラの整備、入館証発行をはじめとする物理的セキュリティ対策など、さまざまな作業とコストが発生する。かといって、それぞれの所属するオフィスからリモートで作業をするとなると、今度は情報流出をはじめとするセキュリティ上の課題をクリアする必要がある。
SPOは、SecureOnline 統制IT基盤提供サービスのメニューを活用して、作業環境とデータを日立ソフトのセンター側に集約し、セキュアなオフィスを仮想的に提供するサービスだ。
各ユーザーには専用プログラムがインストールされたUSBキーが渡され、物理的な入館証の役割を果たすとともに、手元のPCをシンクライアント化する。これを用いて認証を済ませると、VPNを介してあらかじめ割り当てられた仮想マシンにログインし、作業を行えるようになる仕組みだ。バックエンドには、日立製作所の「SANRISEシリーズ」などSAN対応の高速なストレージを導入しているため、ローカルな環境で起動するよりも動作はスムーズだという。
さらに設定によっては「1人に1台ではなく、複数の仮想マシンをプロジェクトごとに使い分けることもできる」(中村氏)。現在は1台のPC上で、フォルダ単位でプロジェクト情報を管理しているケースも多いが、それでは操作ミスやウイルス感染によって情報が流出するリスクがある。これに対しSPOでは、データを仮想オフィス内に閉じ込めることにより、セキュアな環境を実現するという。
SPOの価格は、5ユーザーの小規模オフィスを実現する場合で初期導入費用が6万円、月額料金は23万2500円。複数の企業が参加するプロジェクトに動的に携わる、コンサルティング会社などを対象に提供していく。
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