複数コンポーネントで品質保証が欠落

2008年も“相互運用性問題”がOSS普及の障害に

2008/01/08

 企業ユーザーの間でオープンソースソフトウェアの利用が拡大しているが、ユーザーおよびオープンソースソフトウェアベンダらによると、依然として相互運用性をめぐる問題が広範な普及の障害になっているという。

 SpikeSourceのキム・ポレゼーCEOによると、企業ユーザーは自社のIT環境でオープンソースコンポーネントの利用を拡大するのに際し、将来のアップデートサイクルを通じてオープンソースソリューション間の相互運用性が維持されるという保証を求めているという。

 「複数のオープンソースコンポーネントで構成されるソリューションの場合、品質保証が全般的に欠落しており、1つの基盤コンポーネントが全体のソリューションを崩壊させる可能性もある」とポレゼー氏は話す。「企業にとってこの不安が解消されない限り、オープンソースベンダが期待するような普及ペースは実現せず、大企業からSMB(中堅・中小企業)ユーザーへの普及拡大も限定されたものになるだろう」。

 SpikeSourceでは、自社の自動テスト/認証フレームワークを通じて、この相互運用性問題に取り組んでいる。ポレゼー氏によると、オープンソースプロジェクト/コンポーネントの普及に伴う品質保証や相互運用性の問題が解決されれば、大企業およびSMBの間でオープンソースの採用が一気に加速すると考えているという。

 ポレゼー氏のコメントは、Open Solutions Allianceの最近の報告書の指摘とも一致する。同報告書によると、商用オープンソースソリューションは広範に採用が進んでいるが、相互運用性を巡る問題など、普及の妨げになっている障害も存在するようだ。

 SugarCRMの共同創業者のジョン・ロバーツCEOにとって、2008年の最大のチャレンジの1つが、オープンソースとプロプライエタリなソフトウェアがユーザーに提供する価値の違いを明確にすることだ。

 「品質、柔軟性、コントロール、コストの面で大きな違いがある。どれをとっても商用オープンソースモデルの方に分がある」とロバーツ氏は米eWEEKの取材で述べている。「オープンソースソリューションを検討する企業が増える中、われわれはその違いを明確に説明する必要がある」。

古いソフトウェアモデルの「崩壊」

 「しかし2007年はオープンソースにとって良い年だった」とロバーツ氏は話す。市場および業界全体を通じて普及が拡大する一方で、商用オープンソース企業がエンタープライズソフトウェア市場で急速な成長を続けたからだ。

 「モバイル市場ではグーグルのオープンソース構想であるAndroidや、ソーシャルネットワーキング分野ではOpenSocial APIなど、ほかの分野でもオープンソースの普及が拡大した。こういった成果が実現した背景には、伝統的なプロプライエタリソフトウェアモデルが崩壊したという認識がある。企業ユーザーはさらなるオープン性を求めている」(ロバーツ氏)

 同氏によると、GNU GPL(General Public License)のバージョン3の承認、および普及も2007年のマイルストーンの1つであり、これによりユーザーおよび開発者がフリー/オープンソースソフトウェアを利用する際の柔軟性と相互運用性が高まったという。

 企業のIT要求に対応したWeb 2.0アプリケーションのビジュアル開発と迅速配備を可能にする技術を開発しているWaveMaker Software(旧ActiveGrid)のトッド・ヘイ副社長によると、2008年の牽引力になるのはAjaxとWeb 2.0の技術だという。

 「今日、ますます多くのアプリケーションがWebベースになっており、Web 2.0はこれらのアプリケーションのユーザーインターフェイスに対する期待度を高めた」とヘイ氏は話す。「その結果、企業のIT部門は、ユーザーフレンドリーなAjax環境の中でアプリケーションを迅速かつ簡単に構築、配備することができるツールを求めるようになるだろう。また、企業でのWeb 2.0の普及のための2つの要件である『Web FastとCIO Safe』(Webアプリケーションの迅速な配備とCIOの基準への合致)を満たすアプリケーションの普及が拡大することも予想される」。

はびこる無法者

 さらにヘイ氏は、今年は、いわゆる“無法”技術――忙しすぎるIT部門の対応力不足を補うためにエンドユーザーによってインストールされた野放しのアプリケーション――の利用も増えると予想する。

 「こういった無法技術が企業内で勢力を拡大してくれば、企業はアプリケーションの移行および現代化のための予算を増やすようになるだろう」とヘイ氏は話す。

 オープンソースのデータ連携技術を手掛けるTalendの共同創業者のバートランド・ディアードCEOは、2008年における市場の最大の牽引力はM&A(合併・買収)であると考えている。

 ディアード氏によると、オラクル、IBM、SAP、ヒューレット・パッカードなどの企業が今年も、ビジネスインテリジェンス、アプリケーションサーバ、CRM(カスタマーリレーションシップ管理)、データ連携などの分野でプロプライエタリベンダの買収を続ける一方で、SAPによる Business Objectsの買収やオラクルによるBEA買収の動きは、市場でのプロプライエタリソリューションの数をさらに減少させるという。

 「これらのベンダが大企業をターゲットにしたプロプライエタリソフトウェアの巨大スイートを構築する一方で、SMB市場向けにはSaaS(Software as a Service)ソリューションを開発するというトレンドが続くだろう。技術面から見れば、各社は10年以上の年月を経た複雑なソフトウェアコードからなる成熟した製品を連携しようとしているのだ。もちろん、製品寿命の終了に伴う難しい顧客サポート問題もある」とディアード氏は指摘する。

 しかし顧客の選択肢が大きく左右されることはないという。これらの市場でのオープンソースソリューション/プロジェクトの成功と成熟化の継続が、こういったM&Aを促進するからだという。

 「最大の疑問は、どのスイートベンダがソリューションの一部としてオープンソースを採用し、どのベンダが今後もフラッグシップソリューションとしてプロプライエタリな巨大スイートを推進するのかということだ」(同氏)

原文へのリンク

(eWEEK Peter Galli)

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