米第3位のSNS「Bebo」がFacebook互換APIを一般公開
急速に進む米SNSの相互運用性向上
2008/01/11
SNSサイトの米Beboは1月10日、サードパーティ製アプリケーション向けのAPI、「Bebo Open Application Platform」を一般公開した。Beboは2007年12月に同プラットフォームの公開を発表していたが、発表時点でリリースされたNBC Universal、CBS、NBA、ヤフーなど、一部の企業アプリケーションだけが提供されていた。今後はFacebook同様に開発者として登録して開発キットをダウンロードすることで、誰でもBebo上に自作アプリケーションを登録・公開できるようになる。公開されたアプリケーションをBeboユーザーは、ワンクリックでマイページ上に追加登録できる。
BeboはMySpace、Facebookに続く、米国第3位のSNSサイト。イギリスやニュージーランドではMySpaceをしのぐ第1位のシェアを持っている。2007年12月時点で登録ユーザー数は約4000万人。
BeboはFacebookと緊密に開発を進めており、公開されたAPI、マークアップ言語、クエリ用言語はFacebookのものとまったく同じで互換性がある。
SNS関連ニュースを扱うMashableが伝えるところによれば、12月のプラットフォーム公開後、約1週間で400万インストールを数えたという。また、2007年5月にプラットフォームを一般公開したFacebookでは公開1年にも満たない2008年1月11日現在で約1万3000の登録アプリケーション数を数えるなど、アプリケーションの配布形態としてSNSプラットフォームが急成長している。
Facebook対策としてグーグルがSNS業界を巻き込んで進めるOpenSocialは、現在まで具体的な規格が固まっておらず、どこも実装していない。12月の発表時点でBeboは、Facebook互換APIのほか、OpenSocialへの対応も表明しているが、OpenSocial APIは現在まだバージョン0.6。今回のBeboの動きに追従してFacebook互換APIを公開するSNSが増えれば、Facebookプラットフォームがデファクトスタンダードとして広がる可能性も出てきた。
年末年初に相互運用性向上を巡って活発な動き
外部アプリケーションを一種のプラグインとしてSNSに登録する“プラットフォーム”を巡る標準化の動きは、予断を許さないが、SNSの相互運用性向上を巡る動きが活発化している。
グーグルが2007年11月に発表したOpenSocialは、Facebookが5月にスタートさせた「Facebookプラットフォーム」と、11月に発表した広告プログラム「Facebook Ads」対抗という側面が強かった。グーグルにとって打ち出の小槌であるネット広告市場が、急追するFacebookに荒らされる可能性があるからだ。
こうしたことから、OpenSocial連合とFacebookは対決色が強いものとの観測が一般的だった。しかし、今月8日にはグーグル、Facebook、Plaxoの代表者が、DataPortabilityに参加することが明らかになるなど、ここに来て主要プレーヤーたちが歩み寄る可能性が出てくるなど急展開を見せている。
DataPortabilityはソーシャルコミュニティ上で、ユーザーアカウントやデータの相互運用性の確保するための標準的な方法を模索するために立ち上がった団体だ。グーグルを代表するブラッド・フィッツパトリック(Brad Fitzpatrick)氏は、LiveJournal創業者の1人で、OpenIDの提唱者としても知られる。氏は2007年8月にLiveJournal事業を買収した米シックス・アパートを退社しているが、ちょうどその頃“Thoughts on the Social Graph”と題する論考を発表しいる(日本語訳)。Social GraphとはSNSサイトが保持する人と人、データ間のつながりを示すネットワークのことで、フィッツパトリック氏は、こうしたデータはSNSサイトなどが所有すべきではなく、単に社会的資産としてネットワーク上に“存在”すべきだと論じている。フィッツパトリック氏は現在グーグルでOpenSocialプロジェクトをリードしているとされる。
ソーシャルコミュニティーサイトのデータ/アプリケーション連携について、年末年始にかけて注目すべき動きがあった。1つは12月に最終仕様が策定された「OAuth Core 1.0」(オース)と呼ばれる仕様だ。OAuthは異なるWebサービス間でのデータアクセス制御を行うプロトコルで、現在すでに写真共有サイトのFlickrが提供しているAPIに似た機能が実現できる。例えば、Flickrユーザーは、自分がFlickr上に保存している写真に対し、外部のWebサービスでエフェクトをかけるようなことが可能だが、それと同様のことがOAuth対応Webサービス間で行えるようになる。OpenSocialもOAuthを採用しており、SNSに限らず2008年はOAuthによるWebサービス連携が進むことになりそうだ。
もう1つの動きはOpenIDに関するものだ。2007年11月末にはグーグル傘下のBlogger.comが、ブログのコメント欄への投稿をOpenIDで受け付ける実験的サポートを開始した。また、ヤフー傘下のFlickrでは、ある時期HTMLソースコード中にOpenIDの文字が入っていたのに目ざとく気付いたユーザーがいて、すでに同社はOpenID対応の準備を終えているのではないかという“噂”が流れた。憶測ではあるが、もしグーグルかヤフーのような巨人がOpenIDを採用するとなれば、データ/アプリケーション/アカウントなどが広範囲にわたって相互に利用可能になり、Webの世界は大きく変わるだろう。
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