「セカンドサーチエンジン」を目指す

中国最大手の検索サイト「百度」が日本で本格展開、その強みと弱点

2008/01/23

 中国の検索サイト最大手で世界でもGoogle、Yahoo!に次ぐ市場シェアを持つ百度(Baidu、バイドゥ)は1月23日、日本向けの検索サイト「Baidu.jp」をリニューアルし、本格的にサービスを開始した。百度の総裁兼CEOのロビン・リー(Robin Li)氏は「日中の言語や文化は似ている。百度はダブルバイト、自然言語処理で中国の市場を獲得した。同じ成功を日本でも繰り返したい」と話し、 Yahoo!JAPANとGoogleが過半以上のシェアを持つ日本市場の攻略を宣言した。

baidu01.jpg 百度の総裁兼CEOのロビン・リー氏

 百度の中国外の進出は日本が初めて。日本法人の百度株式会社が運営する。同社は2007年3月に日本向けのWeb検索サービスを開始。今回のリニューアルではWeb検索だけでなく、画像検索、動画検索、ブログ検索(ベータ版)を用意した。Googleなど多くの検索サイトが、サイトが外部からどれだけリンクされているかなどを基準に検索結果の順位を決めているのに対して、Baidu.jpは検索結果内のどのリンクをクリックしたかなど「ユーザー行動主体の評価」をベースにすると百度日本法人の取締役 舛田淳氏は説明した。「ダブルバイトの文字が持つ多義性を分析し、コンピュータに理解させることに成功した」と述べ、検索精度の高さと平均0.05秒という高速検索を強調。中国では、違法ファイルを含むMP3ファイルの検索機能が百度の成長を助けてきたといわれているが、舛田氏はこの考えを否定。「百度の成功は音楽検索だけでなく、高い検索精度があるからだ」と話した。

 中国ではGoogle、Yahoo!を抜き去り、約7割のシェアを持つ百度。2001年のサービス開始からわずか7年で世界3位の検索サイトに急成長しただけに、さまざまな誤解があるとリー氏は語る。誤解とするのは、中国政府がインターネットを検閲、ブロックし、海外発の検索サイトをユーザーに利用させなかったということ。もう1つはすでに記したように違法ファイルを含むMP3ファイルの検索機能がユーザーに利用されて、サイトが成長したということ。リー氏はいずれも否定し、「誤解だ」と強調。MP3ファイルの検索については「私たちは著作権を守っている。不正なリンクはすぐに外している」と話した。

 ただ、著作権を含む法的な問題に百度が敏感になっているのは確かで、発表文の中で「著作権に対する弊社の考えについて」として、「Baiduは日本市場への挑戦にあたり、日本の法律を遵守したサービスを提供してまいります」と、当たり前のことをわざわざ記している。日本法人の代表取締役 陳海騰氏も「日本進出におけるポリシー」として「現地化の徹底」「法令遵守、業界ルール遵守」などを挙げた。

 日本での目標は控えめだ。目指すのは「セカンドサーチエンジン」。舛田氏は、日本のユーザーの約70%が複数の検索サイトを使っているという自社調査を示し、「潜在的な不満がある」と指摘。そのうえで「Baidu.jpは複数のサーチを使うユーザーに対して2番目の検索サイトとして使ってもらいたい」と話した。リー氏も「日本で(中国と同じ)70%のシェアを獲得するために8年かかっても、私たちはくじけない」と話し、長期的に取り組むことを説明した。

 舛田氏によると2008〜2009年はユーザーへの認知拡大でBaidu.jpへのトラフィック増大に注力。広告を主体とするビジネス展開は2010年に予定している。中国でユーザーに人気が高いコミュニティ系サービスやエンターテインメント系サービスを日本で提供することも検討しているが、MP3ファイル検索については「中国と日本では法制度が異なる。私たちの対策が十分でない限りは日本では出すべきではないと思う」(舛田氏)としている。

baidu02.jpg 右から日本法人 代表取締役の陳海騰氏、ロビン・リーCEO、百度の社外取締役に就任した元ソニー会長の出井伸之氏、日本法人 取締役の舛田淳氏

(@IT 垣内郁栄)

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