戦略的価格設定で既存システムのSaaS移行を促進

米グーグルが法人向けセキュリティサービスをSaaSで開始

2008/02/06

 米グーグルは2月5日、SaaSベースの法人向けメールセキュリティサービスを開始した。2007年9月に6億2500万ドルで買収したPostiniのセキュリティ技術を使ったもので、メッセージ・フィルタリング、ウイルス検知、メールアーカイブなどの機能を提供する。

 Postini買収後の2007年10月に、グーグルは同社の法人向けのSaaSパッケージ「Google Apps Premier Edition」にPostiniの機能を統合したが、今回のサービスは、既存の企業インフラ上で稼働しているメールサーバをターゲットとしたサービス。サービスはGoogle Apps同様に同社のクラウド上で稼働するが、Lotus Notes、Microsoft Exchange、Novell GroupWiseなど、ほとんどのメールシステムで利用できるという。

 今回提供を開始するサービスは1ユーザー当たり年額3ドルから。グーグルに買収される以前のPostiniのスパムフィルタリングサービスは年額30ドルからで、新サービスは非常に戦略的な価格設定といえる。大幅な値下げの背景にはグーグルに買収されて、より広いユーザーにリーチできるようになったことと、法人ユーザーを既存の社内システムからSaaSプラットフォームへ移行させるための同社の基本戦略があると見られる。

 具体的なサービスメニューは3つ。

 「Google Message Filtering」はインバウンドのスパムメールやマルウェアを防御するもので、利用料は1ユーザー当たり年額3ドル。

 「Google Message Security」はウイルス検知、情報漏えい対策を行うためのアウトバウンドのメッセージスキャン、メッセージスキャンのポリシー管理機能などを提供する。利用料は1ユーザー当たり年額12ドル。

 「Google Message Discovery」はメールアーカイブサービス。1年分のメールの保存と検索サービスを提供することで、コンプライアンス対策のニーズに応える。利用料は1ユーザー当たり年額25ドルからで、メールの保存期間の延長も可能。

 グーグルによれば、有償もしくは無償で提供されるGoogle Appsは50万を超える法人および大学で利用されている。Postiniのサービスは4万の顧客企業を持ち、毎日1400万人が利用している。

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(@IT 西村賢)

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