成長市場への拡販体制を強化

富士通がLSI新会社設立、「最適なリズムでの経営を」

2008/02/12

 富士通は2008年2月12日、LSI事業を会社分割により分社し、「富士通マイクロエレクトロニクス」を2008年3月21日に設立すると発表した。この決定は、同日開催された取締役会によるもので、新会社の代表取締役社長には富士通 代表取締役副社長の小野敏彦氏が就任する。資本金は600億円、従業員数は単独で6800人、連結で1万3500人になるという。

 新会社設立により、富士通エレクトロニクスをはじめとするLSI事業に関連する子会社・関係会社は新会社の子会社・関係会社となる。ちなみに、電子部品事業を担う新光電気工業、富士通コンポーネント、富士通メディアデバイスは従来どおり富士通の子会社のままだ。

fujitsu01.jpg 新会社の代表取締役社長に就任する富士通 代表取締役副社長 小野敏彦氏

 分社化の目的について小野氏は、「富士通は異なる事業がいくつか組み合わさっている事業体で、事業により最適なリズム(経営判断やリソースの配分など)というものがそれそれ異なる。今回の分社は“LSIに最適なリズムでの経営”を目的にしている」と語る。これにより、新会社はLSI専業会社として迅速かつタイムリーな経営判断、経営の自由度を高めることができ、LSI事業における熾烈な競争に勝ち、成長戦略を実現するという。

 記者会見の冒頭、小野氏は「ようやくテークオフできた」と今回の新会社設立の思いを述べた。さらに、「コックピットは営業部門、翼は商品、エンジンは製造部門、ネジや部品は管理部門だ。これら総合力で新たな会社を経営していきたい。一番重要なのはコックピット(営業)だ」と新会社の経営方針を飛行機の離陸に例えた。

 新会社では、富士通がこれまで培ってきたASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびCOT(Customer Owned Tooling)に加え、ASSP(Application Specific Standard Product)、マイコンおよびアナログなどの汎用品の開発を重点的に行い、商品数を増やすとともにアジアを中心とした成長市場への拡販体制を強化するという。

 小野氏は、新会社の主なターゲット分野を「携帯電話」「PC」「デジタルAV」「自動車」「セキュリティ」の5つとし、商品強化の具体例として「画像エンジンMilbeaut」「チューナー OFDM」「画像処理LSI H.264/SmartCODEC」「次世代高速無線通信 WiMAX」「MCU」「高効率 電源IC」などを挙げた。

fujitsu02.jpg 新会社の注力分野

 当面の経営目標は、2009年度の売上高営業利益率を5%(新会社連結)とし、その達成を目指すという。

関連リンク

(@IT MONOist編集部 八木沢篤)

情報をお寄せください:

アイティメディアの提供サービス

キャリアアップ


- PR -
ソリューションFLASH

「ITmedia マーケティング」新着記事

2025年のマーケターが「生成AIでテレビCMを作る」よりも優先すべきことは?
AIが生成した広告に対する反発が続いた1年を経て、マーケターはパフォーマンス重視で非難...

CMOはなぜ短命? なぜ軽視される? いま向き合うべき3つの厳しい現実
プロダクト分析ツールを提供するAmplitudeのCMOが、2025年のマーケティングリーダーに課...

トラフィック1300%増、生成AIがEコマースを変える
アドビは、2024年のホリデーシーズンのオンラインショッピングデータを公開した。