グローバルで統一プラットフォームを提供
NEC、アルカテル・ルーセントとLTEで協業へ
2008/02/12
NECとフランス通信機器大手のアルカテル・ルーセントは2月12日、広範な協業関係を確立することで合意したと発表した。協業の第1ステップとしてLTE(Long Term Evolution)の共同開発を行う目的で合弁会社を設立する。LTEは第3世代携帯電話の高速化規格で最大伝送速度は下り100Mbps、上り50Mbps程度。
共同開発により両社は、NTTドコモや米ベライゾンを始めとする通信事業者が必要とするシステムなどを提供していく。2009年にLTEの商用システムを実現することを目指す。
合弁会社への投資規模は明らかにされていないが、技術者の数は両社合わせて1000人を超えるという。スペインで開催中のイベント「Mobile World Conference 2008」で共同記者会見を開いたNEC代表取締役社長の矢野薫氏は「新会社では開発投資のすべてをLTEに振り向ける。1つの製品開発ストラテジー、1つのプラットフォームを目指す」と話し、日本を含むグローバル市場で統一されたプラットフォームを構築する意思を明確にした。
アルカテル・ルーセントは現在ワールドワイドのCDMA市場で45%のシェアを持つ。同社CEOのパトリシア・ルッソ氏は「CDMAは重要なビジネス。CDMAでサービスを提供する顧客も含め、われわれの顧客が最適と考える進化のパスを提供していく」とし、今後も既存顧客のサポートを継続すると同時に、LTEによるアップグレードパスの提案を、要望に応じて行っていくとした。また、NECは、すでにノキア・シーメンスと第3世代携帯電話向け機器で協業しているが、矢野社長は、この関係も継続していくという。
アルカテル・ルーセントは2000年に富士通との合弁会社「エボリウム」を立ち上げて、次世代移動通信システム(IMT-2000)の開発に取り組んだ過去がある。会見でそのことを問われたルッソCEOは「当時とは時代が違う」とし、富士通との合弁会社では日本市場と欧州市場でそれぞれ別々のマーケットを見ていたが、今回の合弁会社の視点が最初からグローバルである点を強調した。
両社は今後、NGNや次世代モバイル/ワイヤレスサービスに必要なIMS(IP Multimedia Subsystem)や光通信、IPルーティング技術などの領域での具体的な協業内容を検討する。また、通信事業者のさまざまなサービスを実現するために、サーバやストレージなどを含むサービスプラットフォームなどのITソリューション領域での取り組みも視野に入れ、多岐にわたる協業体制を構築していくという。
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