プロビジョニング・プロセスを大幅に自動化
日本HP、仮想化を活用した開発環境の“社内SaaS”システム
2008/02/20
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2月20日、企業が開発環境用のITインフラを社内の開発者に対して「貸し出し」できるようにするシステムとコンサルティングを組み合わせたパッケージ「HP Shared Service Utilityサービス」(SSU)を発表した。「HP社内での取り組みをコンパクトにして提供する」と日本HP 取締役 副社長執行役員 HPサービス事業統括 石積尚幸氏は説明した。
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SSUはサーバ仮想化プラットフォームとして「HP-UX VSE」(Virtual Server Environment)と「VMware ESX Server」を採用し、ITインフラのプロビジョニング(初期導入設定作業)プロセス全般を抽象化・自動化するツールを組み合わせた。これらとサーバやストレージといったハードウェア、コンサルティングも含めてパッケージ化した。
社内で複数の開発プロジェクトが常時進行しているような企業でも、サーバはプロジェクトごとに調達しているケースが多い。開発プロジェクトでは即座にITインフラを調達したい、サーバやストレージのリソースを柔軟に使いたいといったニーズがあるが、プロジェクト単位での調達では時間が掛かるし、オーバー・スペックなハードウェアを手に入れることになり無駄が出る。プロジェクト終了後にほとんど使われなくなってしまうサーバもある。
SSUでは、サーバ仮想化によってITリソース利用の効率化を実現、さらにSaaS的なインターフェイスによってITインフラの利用申請から仮想サーバとストレージの設定とユーザーへの割り当てにいたる作業のほとんどを自動化する。SSUでは、ITインフラ管理者が利用申請を承認すれば、ユーザーは翌日から開発作業を開始できる。SSUは開発プロセスのうち初期開発から機能試験まで、そして実稼働開始後の障害対応のための再現テストでメリットを発揮すると、コンサルティング・インテグレーション統括本部 ソリューション戦略本部 ソリューション戦略第二部 部長 内田恵氏は話した。
SSUは、開発環境用のITインフラをサービスとして提供し、管理するためのツールを備えている。社内の開発者は利用申請画面から、利用したいOS、ディスク容量、必要台数、利用開始日/終了日、サービスレベルなどの情報を選択して開発環境を申請する。ITインフラ管理者がこの申請を承認すると、SSUは、HP-UXがリクエストされた場合はHP-UX VSE、Windows ServerあるいはLinuxがリクエストされた場合にはVMware ESX Server上で、自動的に仮想サーバを生成し、構成情報とアクセス権を自動的に設定する。開発環境の利用を終了した後も、仮想サーバのイメージはバックアップされるため、本稼動後の障害発生時に、これを使って再現テストを行うこともできる。
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SSUの導入にはプロジェクト全体で通常4カ月半程度の期間が必要。パッケージではあるものの、各企業のニーズによってハードウェアやOSの構成、プロビジョニング機能の実装形態が異なるからだ。価格はハイエンドな構成で約6000万円だが、「お試し版」としてハードウェアコストに約600万円を追加した程度の選択肢も提供するという。当初は日本HPが直接ユーザー企業に対して販売するが、いずれは販売パートナーが提供できるようにしていきたいという。また、SAPやWebLogicなどの特定アプリケーション向けSSUも計画しているという。
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