モバイル向けSDK勢力図にMSから激震
ノキア、Symbian端末でSilverlightを採用
2008/03/05
フィンランドのノキアは3月4日、Symbian OS上の同社プラットフォーム「S60」をはじめ、前世代の「Series 40」や同社のほかのモバイル端末において、マイクロソフトのSilverlightを採用する計画だと発表した。2008年の年末までにS60シリーズの開発者向けに提供する。Series 40への対応は今後改めて発表する。マイクロソフトは、S60上で動作するSilverlightを、3月5日に開催予定のイベント「MIX08」で披露する。
SilverlightはRIA(リッチインターネットアプリケーション)を作成するアプリケーションプラットフォームで、Internet Explorer、Firefox、SafariなどWeb向けプラグインとして提供する。WMV形式のHD動画に対応していて、ストリーミングサービスなどに向くことから、すでに米NBAや米NBCユニバーサルがSilverlightを採用。NBCユニバーサルは北京五輪専用サイトでSilverlightを採用すると発表している。また、日本では無料動画配信サービスの「GyaO」がSilverlightを使って新着動画インデックスを提供している。
S60上ではSymbian OSにネイティブで対応できるC++のほか、Ajaxを含むJavaScript、CSS、HTMLなどのWeb標準技術、Java言語、Flash Lite、Pythonを使った開発が可能だが、ここに新たにSilverlightが加わる形だ。S60上に搭載されるSilverlightのバージョンは現時点では不明だが、開発言語にC#のほか、IronPython、IronRubyなどが使えるようになる可能性もある。また、現時点でマイクロソフトからの公式コメントはないが、今後Windows Mobile向けSilverlightが提供されることになれば、Silverlight向けアプリケーションがSymbian OS、Windows Mobileで動く可能性がある。
今回のマイクロソフトとの提携発表は、ノキアが開発環境の多様化を進める流れの一環だ。同社は2008年1月にノルウェーのTrollTechを買収している。TrollTechはクロスプラットフォーム向けのアプリケーション開発フレームワーク「Qt」や「Qtopia」で知られる。QtはUnix向けデスクトップ環境のKDEで採用されているほかQtopiaはソニーのmyloなどで組み込みの実績がある。Qtの開発言語はC++だが、TrollTechは2007年6月にJavaからQtが利用できる「Qt Jambi」もリリースしていて、Qtはモバイルからデスクトップまでを結ぶクロスプラットフォーム向け開発環境に成長している。ノキアは1月のTrolltech買収発表時にS60とS40の双方のシリーズでTrolltechの開発フレームワークが生かされる説明している。
S60対応のスマートフォンは、2008年1月までに1億5000万台の出荷実績がある。
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