RISCプロセッサ・システム市場攻略を強化

日本IBM、System iとp統合でPower全開

2008/04/09

 日本IBMは4月9日、「System i」と「System p」のハードウェア統合を発表した。

 これまで、日本IBMはSystem iをAS/400の世界を引き継ぐi5/OSを搭載するシステムとして、一方System pはAIXを搭載するUNIX機として、同じPOWERプロセッサを採用した同一のハードウェアながら、別個のブランド名のもと販売してきた。今回日本IBMはサーバ・ハードウェア製品を「IBM Power Systems」の名称で統合、ユーザーニーズに応じてOSを組み合わせて販売する形態に改めた。これに先立って組織も再編。2008年1月1日に、Power Systems関連製品・サービスを一括して担当する「パワー事業部」を発足させている。なお、AS/400の資産を引き継ぐi5/OSは、今回新プロセッサ「POWER6」への対応を機に、プロセッサのバージョンに依存しない「IBM i」という名称に変更された。

 Itaniumと独自RISCプロセッサで構成される市場におけるマーケットシェア向上に向けて、IBMがこれまでにない直接的な取り組みを開始した。同社は4月8日に発表のブレード型を含め、POWER6プロセッサを搭載したサーバ・ハードウェア製品を5月中に5機種投入。最上位製品の「IBM Power 595」は5GHzのPOWER6を搭載するとともに最大メモリ構成4TBを可能にし、競合他社の同等機種と比較して2倍の価格性能比を実現したという。

ibm01.jpg 米IBM バイスプレジデントのスコット・ハンディ氏

 米IBMのバイスプレジデント、スコット・ハンディ(Scott Handy)氏(IBMシステムズ&テクノロジー・グループ パワー・システムズ・プラットフォーム ワールドワイド・マーケティング&ストラテジー)は、SAPのWebに掲載されているベンチマークテストの数値(SD two-tier results)で、性能の高さを説明した。

 ハンディ氏は、64コアを搭載したPower 595(AIX 6.1を使用)が、2倍の128コアを搭載したヒューレット・パッカード(HP)のSuperdome(2006年12月の数値)と比較して、ユーザー収容数で13%以上多い結果を4月8日にたたき出したと語った。両製品はコア当たり価格が近いため、同一の性能を発揮するのに必要なシステムコストはHPの半分であり、さらにソフトウェアはコア単位で課金するベンダが多いことから、ソフトウェアコストも半分で済むことになると話した。

 さらに同氏は、仮想化やシステム管理の点でも、IBMはHPやサン・マイクロシステムズの上を行っていると訴えた。その根拠として、IBMの場合「PowerVM Edition」上にAIX、i、Linuxの3つのOSを稼働できること、そしてPowerVMが搭載する「Live Partition Mobility」、つまりある筐(きょう)体上の仮想サーバを無停止でほかの筐(きょう)体上の仮想サーバへ移行させる機能を挙げた。

ibm02.jpg 100V駆動の「BladeCenter S」に搭載できるPowerブレードは4月8日に発表された

 日本IBMのシステム製品事業 パワー事業部 事業部長である武藤和博氏は、他社のRISCプロセッサやItaniumは今後のロードマップが不確実だとし、「唯一の確かなプロセッサ」として他社製品の置き換えを積極的に進めていくと話した。米国ではHPやサンのサーバ機をIBMが引き取り、その替わりにPower Systemsを納入した場合、高額のサービスを無料にするトレードイン・プログラムを展開しており、日本でも同様のプログラムを提供する予定という。

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(@IT 三木泉)

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