アドレス枯渇で総務省が報告書案

通信事業者のIPv6対応は事実上必須? 「業界再編も」

2008/04/14

 総務省は4月11日、IPv4アドレスの枯渇に向けたアクションプランを示す報告書案を公表し、パブリックコメントの受け付けを開始した。この報告書案は国内の通信事業者によるIPv6対応を強く促すものだと、あるISP関係者は指摘する。

 これは、総務省が組織した「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」による報告書。「早ければ、2011年初頭には、日本国内でIPv4アドレスの補充が困難となる見込み」と指摘し、対策として「NAT/NAPTの利用」「割り振り済みのIPv4アドレスの再配分」「IPv6への移行」という3つの選択肢を解説。これに基づいて、IPv6への移行が唯一の恒久的な解決策だとし、NAT/NAPTによるIPv4アドレスの節約と同時並行的に進めるべきだとしている。

 報告書はネットワーク(ISP、アクセス事業者)、サービス(ASPなどのサーバ運営事業者)、ユーザーの3つに分けてIPv6対応へのアクションプランを提示。ネットワークについては2010年までに、IPv4とIPv6双方のアドレス払い出し機構の整備と、両プロトコルによるユーザー収容の実現、さらにNAT/NAPTによるIPv4ユーザー収容への準備を求めている。「2008年中に、サービス提供に係るシステムのIPv4依存性を確認するとともに、早急にIPv6対応化計画を取りまとめることが必要となる」としている。

 政府の役割については、「アクションプランの推進状況を注視するとともに、プレイヤー間の調整や折衝が円滑に進むよう環境整備を図る」、またIPv6アドレスを払い出すISPと、アクセス網事業者との接続について、「『ネットワーク』関係者による調整状況を注視し、合意形成に時間を要している場合、早期決着を促す」と記している。

mic01.jpg 総務省が公開した報告書の一部(クリックで拡大します)

 ISP関係者が特に注目するのはこの部分。総務省は同報告書を踏まえ、ISPがIPv6への移行計画を2008年度中に策定するかどうかを注視。自主的に計画を立てない場合は、通信サービスの永続性に重大な影響を与える不作為ととらえ、より強い措置に出る可能性があるという。

 つまりISPは事実上、2010年を目指してIPv6への対応を進めざるを得ない。厳しい事業環境でISP間の格差が拡大するなか、IPv6対応のためのコスト負担がきっかけとなって業界再編の加速化が予想されるという。

(@IT 三木泉)

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