すでにユーザーの66%が非アメリカ人
「実名が基本」、Facebookが日本語版スタート
2008/05/19
先週24才になりました――まだその顔に幼さの残るハーバード大学のドロップアウト、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerburg)氏は、評価額が150億ドル(1兆5700億円)にも上るといわれる米フェイスブックの創設者で現CEOだ。初来日したザッカーバーグ氏は5月19日に都内で会見し、日本市場への緩やかな参入を発表した。
Facebookはアクティブユーザー数が7000万人を超える世界第2位のSNSサイト。5月19日から日本語版サイトの提供を開始した。従来のドメイン名に変更はなく、アカウントページにある言語設定を変更することでサイト上で日本語が表示されるようになる。新規ユーザーが日本国内からアクセスした場合、表示は日本語になる。現在、日本語以外ではスペイン語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、オランダ語、ポーランド語、ノルウェー語で利用できる。
日本語への翻訳はFacebookユーザーがボランティアで行ったのち、Facebookとプロの翻訳者がチェックした。Facebook上で利用できる専用の翻訳アプリケーションを利用し、430人が3週間かけて約1500文を訳した。訳文の選択は投票によって決められるという「民主的なプロセス」で行った。
ボランティアユーザーの手で日本語化、現地法人なし
今回の日本市場進出に当たっては、現地法人や大きなオフィスを開かず、既存企業とのアライアンスも組んでいない。もともと簡単に国境を越えてしまうというWebサービスの特性を生かし、メッセージ類を日本語化して、日本ユーザーの参加を促すという程度の“緩やかな”参入だ。
参入に新たな投資が発生しないぶん、ビジネス面でも当分は様子見だ。年間1億5000万ドルともいわれる同社の主な収入源は広告だが、日本市場ではパートナーシップを組んでいるマイクロソフトが提供する日本市場向けのバナー広告が表示される程度にとどまるという。「当面、日本でのフォーカスは広告戦略にはない。まずは使ってもらうことが先決。(Facebookの日本ユーザーコミュニティが)立ち上がれば広告についても考えていきたい」(Facebook創設者で最高経営責任者のマーク・ザッカーバーグ氏)。
すでにユーザーの66%が非アメリカ人
Facebookは、2004年の2月に大学在学中だったザッカーバーグ氏がハーバード大学の寮で立ち上げた。当初は周囲の友達と情報共有する目的で立ち上げたが、やがて「多くのユーザーが、より多くの人と情報を共有したい、自分を知ってほしいと思っていることに気付いた」(ザッカーバーグ氏)という。2005年にはユーザー層が全米の大学に広がり、その後は対象ユーザーの大学生という枠も外し、急成長した。この間、写真をアップロードできるアルバム機能やブログ機能など、次々とアプリケーションをリリースしたが、「自分たちだけでアプリケーションを開発するのは限界がある」(ザッカーバーグ氏)という認識から、2007年5月に開発プラットフォームを公開。現在までに30万人の開発者が計2万種のアプリケーションをFacebook向けに公開しているという。
2007年11月には広告プラットフォーム「Facebook Ads」を発表(Facebookの発表文)、2008年に入ってからは多言語化と着実に成長している。2006年時点ではユーザーの93%がアメリカ人だったが、2008年5月にはその割合が34%にまで低下。アメリカ以外からのユーザーの割合が66%になっているという。ユーザーの年齢層も10代の若者から高年齢層まで幅広く、「情報を共有したいというニーズは普遍的」(ザッカーバーグ氏)という。
実名であることが、ほかのSNSとの違い
先行するSNS、MySpaceを急追することで注目を集めているFacebookだが、日本市場で勝機はあるのか。mixiなど先行サイトとの違いは何か。この点についてザッカーバーグ氏は、Facebookの特徴は実名ベースであることだと断言する。
「Facebookでは実名を使った登録ユーザーが、リアルにつながりを作っている。この点で、MySpaceやmixiなど、ほかの多くのSNSと異なる。ユーザーは実名による友人や家族とのつながりを求めている。MySpaceと比べるとFacebookのほうが急ピッチでユーザー数を獲得している」
Facebookは大学生同士のつながりとして始まったため、ユーザー登録時に実名を使わないと信用されず「つながりの中から外れていく」(ザッカーバーグ氏)という文化が当初からあったという。Facebookでは「実名が基礎であり土台であり、常識」(同氏)。情報開示レベルのコントロールが細かくできるのも、Facebookの特徴という。「写真アルバムを友人と共有したい、でも親には見せたくないということもできるし、携帯電話の番号を100人の友だちには見せてほかの人には見せないということもできる」(同氏)。
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