CTCが示す期待
SIerが考えるHyper-Vの可能性と現実
2008/05/19
マイクロソフトのサーバOSの最新版「Windows Server 2008」が登場し、約1カ月がすぎた。Windows Server 2008の主要機能の1つである仮想化技術「Hyper-V」がまだリリース候補(RC)版で、正式版となるのは今夏の見込み。Windows Server 2008は今夏にもう一度、スタートダッシュのチャンスがあるといえる。
Hyper-Vはハイパーバイザー型の仮想化技術で、1つのサーバ上で複数のOSを稼働させられるようになる。このような仮想化技術自体はVMwareやXenですでに実現しているが、マイクロソフトが訴えているHyper-Vのメリットは、OSの標準機能のために「リーズナブルに仮想化を実現できる」という点だ。
ただ、システム・インテグレータ(SIer)の伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)のプラットフォーム推進部 サーバ技術課 杵島正和氏は「Microsoft Virtual Serverよりも速い」とのそのパフォーマンスも評価する。ゲストOSとして32ビットだけでなく、64ビットOSもサポートすることで、「テスト環境を作りやすい」という。
一方、Hyper-Vを顧客企業に提案するSIerから見ると、Hyper-Vの弱点は仮想マシンを管理するツールが標準の「Hyper-V Manager」以外に手薄なこと。特に複数の仮想サーバ、物理サーバが混在する大規模環境を統合管理するツールは現状はなく、「たくさんの仮想マシンを管理するのは厳しいのが現実」と杵島氏は語る。
杵島氏が期待するのは仮想サーバ管理ツール「System Center Virtual Machine Manager」(SCVMM)の新バージョンである「同 2008」。2008は今夏にリリース予定で、Hyper-V上の仮想サーバだけでなく、VMware ESX Server上の仮想サーバも統合的に管理できる。杵島氏は「管理ソフトウェアがそろった段階で、Hyper-Vの新たな道が開ける」と期待を示す。
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