買収後のMySQL開発動向にはサンの好影響も
「オープンソースカンファレンス .DB 2008」開催
2008/06/09
6月7日、法政大学市ヶ谷キャンパス(東京)にて「オープンソースカンファレンス .DB 2008」が開催された。同イベントは、オープンソースのデータベースプロダクトの開発者・ユーザーの情報交換の場として2006年から開催されており、今年はPostgreSQL/MySQL/Firebirdの最新の開発動向などが発表された。
MySQLはサンと協力体制強化で開発が加速
MySQLの梶山隆輔氏は日本MySQLユーザ会メンバーとして登壇し、アップデート情報のほか、サン・マイクロシステムズの協力体制の動向がうかがわれる情報をいくつか紹介した。
次期メジャーバージョンアップとなる6.0で正式対応予定のストレージエンジン「Falcon」「Maria」が紹介された。Falconは大容量メモリを搭載したサーバでの利用に適したストレージエンジン。一方「Maria」は現在MySQLの標準となっている「MyISAM」を拡張で、トランザクションに対応している。
なお、2009年末リリース予定の7.0で実装予定の外部認証機構との連携については、サンとの合併により、予定よりも早期に実装する可能性もある。サンの提供するNetBeans用ではMySQLコネクタが用意されたという。このほかにもいくつかの機能強化が予定されているが、現段階ではすべて「調整段階」とのことで、今後、開発の方向性をフィックスしていく見通しだ。
また、MySQLのHA化を実現するMySQL Clusterは、今後MySQL本体とは別プロダクトとして開発され、最新バージョン6.2では、メモリベースのほかにディスクベースでのデータ同期、次期バージョンの6.3では地理的に離れた2拠点間でも双方向でのレプリケートが行えるようになることも報告された。
HOT、WITH RECURSIVE句などの注目の新機能―PostgreSQL、Firebird
日本PostgreSQLユーザ会の片岡裕生氏は、最新バージョン8.3での新機能を中心に発表した。
リニアにディスクスペースを圧縮する新機能HOT(Heap Only Tuple)は、追記型アーキテクチャを採用するPostgreSQLの弱点を補う機能として期待される。このほか、分散チェックポイントによるディスクI/O負荷の軽減、同期シーケンシャルスキャンなど、エンタープライズ向けの新機能・機能強化が多数紹介された。
Firebird日本ユーザ会の木村明治氏は、Firebirdでは、開発の力点をエンタープライズに置いた前二者のRDBMSとは異なるポリシーによる開発が行われている述べた。さらに、今年の4月にリリースされた最新版Firebird 2.1の新機能(UPDATE OR INSERT文によるMERGE文相当機能の実現、WITH RECURSIVE句による再帰SQLなど)を詳細な説明を交えて紹介した。
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