成長の余地はまだまだある
サーバ仮想化はストレージ市場の大きな転機、デル
2008/06/10
米デルのストレージビジネス総責任者であるプラビン・アサナー(Praveen Asthana)氏は@ITとのインタビューで、新興ストレージベンダの米イコールロジックを買収した最大の理由はサーバ仮想化の生み出すビジネスチャンスにあったと語った。
米デルはiSCSIストレージベンダのイコールロジック買収を1月28日に完了した。約14億ドル規模のこの買収の最大の理由について聞くと、アサナー氏は「サーバ仮想化のためのベストなソリューションを提供することにあった」と答えた。
「デルは優れたサーバを持っているし、ヴイエムウェアの最大のリセラーでもある。仮想化をサーバに組み込み、最適化もした。だから最高のストレージソリューションが欲しかった。イコールロジックのストレージはサーバ仮想化に最適だ」
アサナー氏は第2の理由として、ストレージ事業の拡大という観点から、イコールロジックの技術が重要だったことを挙げた。
サーバ機を多数販売しているデルは、その顧客に自社ストレージ製品を併せて買ってもらうチャンスがある。ストレージ製品のラインアップを拡充してきたのは、このチャンスを生かすためだとアサナー氏はいう。
「5年前に私がデルに入社したときは、Dell|EMCのストレージを売っているだけだった。しかしその後ストレージ事業は大きく伸び、売り上げは3倍になった。製品ラインについては、エントリ製品を投入したし、ミッドレンジではイコールロジックを投入した。テープやソフト、サービスも拡大している。現在の製品展開は最強の部類に入るだろう。デルは数年前から大きく変わった。以前は箱売りの会社だったが、いまではソリューションを売っている。ストレージはこの変化の大きな推進役になっている。なぜならストレージはソリューション型のビジネスだからだ」(アサナー氏)
では、Dell|EMCとイコールロジックをどう売り分けているのか。価格分布を考えても、Dell|EMCがすべてハイエンドで、イコールロジックがミッドレンジだという分類はできない。アサナー氏はいう。
「サーバ仮想化に際して顧客に提案する場合は、まずイコールロジックを勧める。しかしファイバチャネルを好む顧客、すでにDell|EMCを導入していて、管理を統一したい顧客、あるいは高度なソフトウェア機能を求める顧客にはDell|EMCを勧める。一方で、容量とパフォーマンスを同時に拡張できるなど、イコールロジックの製品特有の利点を享受したい顧客もいる」
イコールロジックの買収完了後1四半期が経過したいま、どちらのビジネスも順調に進んでいると同氏は続ける。「ファイバチャネルにも、iSCSIにも大きな市場があるから、この2つは共存する。例えばDell|EMCのファイバチャネル・ストレージ市場における浸透度は、まだIBMやHPに比べて低い。つまりそこに十分なビジネスがあるということだ」
一方、MDシリーズとイコールロジックには価格的に大きなかい離がある。それを埋めるべく、イコールロジック製品のスケールダウン版を出す考えはないのだろうか。
「短期的にはない。MDシリーズとイコールロジックはアーキテクチャが違うからだ。それよりも管理を共通化し、双方を同じように見せることで、顧客が新しい管理方法を習得しなくてもよくすることを考えている。現在のところ、MDシリーズ、イコールロジック、Dell|EMCは、それぞれ際立った特徴を持っている」(アサナー氏)
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