ガートナー、「ITインフラストラクチャ&データセンターサミット」を開催
「データセンターは生き物」、グリーン化という進化が急務
2008/06/16
ガートナー ジャパンは6月16日、17日の両日にわたり、「ガートナー ITインフラストラクチャ&データセンター サミット2008」を開催している。16日はガートナーリサーチ バイスプレジデントの亦賀忠明氏が「ITインフラストラクチャのメガトレンド2008」と題して基調講演。続いてバイスプレジデントのフィリップ・ドーソン(Philip Dawson)氏、アクサテクノロジーサービスジャパンの飯島寛氏らが基調講演を行い、多数の聴講客がつめかけた。
ドーソン氏は、「データセンターをグリーン化せよ:生きた有機体への進化」と題して講演。新技術の導入やビジネスの環境変化などを受けて、既存のデータセンターが進化しつつあることを挙げ、「データセンターとは環境変化の影響を受ける生き物である」との見解を示した。
「メインフレームからクライアントサーバシステム、さらにモジュール単位で構成される現在のシステムまで、システムの粒度は年々細かくなっており、その分、より精度の高い管理が求められている。データセンターも生き物と同じく、そうした外的刺激に反応し、成長し、その使命を維持していくことが大切だ」
進化に必要な条件として、エネルギー効率のよいシステムとその運用、環境負荷が少ない資産調達方法や建物の建設方法、廃棄物処理、さらに太陽熱など再生可能なエネルギー源の活用などを紹介。これらをバランスよく考慮するうえで、「まずはデータセンターのエネルギーに関する方針と、実行している各種イベントとの相互関係をモニタリングし、現状を把握することが大切だ」と述べた。
また、コストの観点から、PUE(電力利用効率)とDCiE(データセンター効率)を測定し、エネルギー効率の現状を把握することの重要性も指摘した。「グリーン化は、まずデータセンターの設備戦略を策定し、場所や建屋などを決め込んだうえで、サーバやストレージなどの選定に入る。いきなり仮想化技術を取り入れようとしてもそれは不可能。環境面、コスト面など、データセンターの現状を正確に把握することが先決だ」
また、データセンター効率化の検討において「ネットワークやアーキテクチャだけではなく、人や業務プロセス、オペレーションの負荷も見落としてはならない」と指摘した。特にコストを意識するあまり、ハードの価格に目を奪われがちな傾向を指して、「ハードを安く抑えても、人が2倍必要な運用になるのでは意味がない。一時しのぎではなく、継続的にコストを下げられる、よりグリーンなプロセスを模索すべきだ」と強調した。
最後にドーソン氏は、「今後のデータセンター設計には環境、効率という観点が不可欠となる。もはや従来の方法論では通用しない点もあり、今後は混乱が生じるだろう。しかし、世界的トレンドであるグリーン化の流れを設計に取り入れられなければ、ITサービスの実現能力は損なわれる」と、改めてグリーン化の重要性を指摘。「直ちにデータセンターの効率性測定を実行し、12ヶ月以内にサーバ統合、仮想化など負荷要件を削減するための具体的な手立てを考え、2015年までに冷却の効率化などを検討すべき」と、具体的なロードマップを示すことで、グリーン化への早急な取り組みを促した。
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