「コンタクトセンターは、既存資産をどう生かすかがカギ」
アスペクト、「Aspect Quality Management 2.8.2」を積極展開
2008/06/26
「コンタクトセンターのプラットホームはすでに成熟している。問題は、いまのリソースをどう使うか、どう改善に導くかだ」
日本アスペクト・ソフトウェアは6月16日、コンタクトセンターの品質管理ソリューション、「Aspect Quality Management 2.8.2(以下、QM )」をリリースした。ワークフォース・マネジメント、アウトバウンド最適化など、コンクタトセンターのパフォーマンスを管理、改善するための製品群である「Aspect Performance Edge」の1製品で、通話録音、画面キャプチャーなど、エージェントの応対品質管理機能にフォーカスしている。同社代表取締役社長 小枝逸人氏は、QMについて冒頭のように述べたうえで、次のように語る。
「QMはコンタクトセンターの現状を把握し、そのパフォーマンスを最大限に引きだせるよう、改善の手がかりを提供するもの。すでに国内でも2000席規模のインハウス・コンタクトセンターに導入されており、現在も複数社から引き合いをいただいている。海外はもとより日本国内でもコンタクトセンターの戦略的活用に対する認識が高まっているが、どうすれば各顧客に最適なアプローチができ、囲い込めるのか。マネジメントを重点課題と認識する企業の増加を実感している」
事実、コンタクトセンターの戦略的活用を考える機運は確実に高まっている。IDCジャパンが5月8日に発表した「国内IPコンタクトセンターシステム市場予測」によると、2007年の国内IPコンタクトセンターシステム市場規模は前年比9.6%の385億円。年間平均成長率は10.2%で、2012年には627億円に達する見込みだ。
IP化の目的はコスト削減だけではなく、ユニファイドコミュニケーション機能などの利用により顧客対応機能を強化し、顧客満足度を向上させることにあるという。しかし、センターを支える技術が日々進化する一方で、「いつでもつながる」「丁寧で確実な応対」といった顧客満足度向上のポイントは、常に重点課題の上位に位置し続けている。「改善の方法論が分からない」ことに起因する課題は、むしろインフラが整うほど深刻化するのかもしれない。
小枝氏はこうした状況について、「コンタクトセンター運営の評価基準を明確化することが大切だ」と指摘する。「いまエージェントはどんな対応をしているのか、1日当たり何件対応しているのかなど、センターの現状を把握し、それに対する目標を設定できなければ改善は行えない。センターの稼働状況や応対品質について、定量的、定性的な側面から、日常的に把握することが継続的な改善につながる」
また、昨今はコンタクトセンターが「企業の顔」として機能し、電話、Web、Eメールとコンタクトチャネルも多様化している。この点で、どの窓口からアクセスしても同じ印象の応対が受けられる「一貫性」が、企業イメージに影響を及ぼす重要な要素となって久しい。
小枝氏はこの点についても、「企業の顔という意味で、コンクタトセンターは経営戦略と直結している」と指摘する。「まずは経営戦略におけるセンターの位置付けを明確化し、経営目標からブレイクダウンして、さまざまな目標を設定し直すべきだろう。それに対する評価基準を明確化できれば、応対品質だけではなく、運営効率も自ずと向上するはずだ」
例えば、評価基準が明確になれば、経営戦略に対する自分の役割、目的、目標を、1人1人のエージェントが把握できる。目的、目標が分かれば1件1件のコンタクトに的確に、効率よく対応しやすくなる。現場を統括するスーパーバイザーも、エージェントの現状、課題を正しく把握できるようになる。さらに「モラルも向上する」(小枝氏)という。
「現在、多くのセンターがエージェントの離職率の高さに頭を抱えている。特に金融、保険業界をはじめ、エージェントに専門知識を求める顧客ニーズが高まっている中では、知識・スキルの流出は深刻な課題だ。しかし1人1人が自分の役割を認識し、なおかつ明確な評価基準が存在すれば、やりがいをもって仕事に取り組める。すなわち現状把握と評価基準の策定は、エージェントに成長を促すとともに、優秀な人材の囲い込みにつながる。それがセンターの運営効率、収益性向上につながることはいうまでもない」
小枝氏は「QMもこうした考えに基づいて開発したもの」と説明する。具体的には、通話録音、画面キャプチャーによって、各コンタクトチャネルにおけるエージェントの対応をすべて記録できるほか、エージェントの対応状況を評価、採点する応対品質管理機能を備えている。「はい」「いいえ」、重要度が「高い」「普通」「低い」といった選択肢に応えていくだけで評価項目を作成できる「評価テンプレート機能」も用意し、スーパーバイザーなど管理者側の効率向上にも配慮した。また、今回リリースしたQM 2.8.2では、Aspect CallCenter ACD 9.1向けに、VoIPベースの通話録音やSIPトランク・電話機の通話録音もサポートした。
一方、「運用のしやすさも特徴」(小枝氏)で、Microsoft Internet Explorer、.NET Frameworkで稼働するため、専用のクライアントが不要。ACD(着信呼自動分配装置)やダイヤラー、PBXとの連携性にも配慮し、Aspect Call Center、Aspect Unified IPといった同社製品以外にも、アバイア、ジェネシス、シスコなどのシステムに対応可能とした。
「QMは既存のリソースを有効活用するための手がかりを得ることができる。他社製品と競合ではなく協調して、各センターのパフォーマンスを最大限に引き出すことを目的としている」
小枝氏は、こう解説したうえで、「基本的なプラットホームはすでに整っている。では、それをどう運用するか──まさにいま、マネジメントを本格的に見直すべきフェイズに入っている。QMの提供を通して、センターの業務改善、品質改善に積極的に貢献していきたい」と語った。
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