建設業向けERP「建設WAO」を発売
チェプロ、Webブラウザを使わないWebシステムでERPを開発
2008/07/07
業務システムの開発・設計、コンサルティングを行うチェプロは7月7日、Web技術を採用した同社独自の技術で建設業務向けERP「建設WAO」を開発し、発売開始すると発表した。独自開発のWebアーキテクチャ「WAOテクノロジー」を搭載し、Webシステムでありながら、Webブラウザを使わず、クライアントサーバシステムと同等のレスポンスと操作性を実現したという。
WAOテクノロジーは、データベースサーバ、アプリケーションサーバ、クライアントの3層をインターネット環境で結ぶ、.NetFrameworkをベースとしたWebシステムアーキテクチャ。従来のWebシステムのように、画面表示の際にフォーム情報、データベース情報をサーバからすべてダウンロードするのではなく、クライアント画面の構成部品単位で通信を行い、必要なデータのみ取得することでデータ量を削減、スピーディな通信を実現したとしている。画面の構成部品単位でのデータ・コントロールには、APIを使った制御を利用しており、この技術については現在、特許を申請中だという。
同社代表取締役社長の福田玲二氏は、「Webシステムを使ってクライアントサーバシステムと同等のオペレーションを実現するには、Ajaxをはじめ、さまざまなツールやアプリケーションが必要だった。しかしWAOテクノロジーでは、そうした追加調整が一切不要。Webシステム特有のデータ落ち、画面制御の限界が改善されるほか、メタフレームや専用サーバも不要で、ソフトウェア、ハードウェアの保守に大きく貢献する」と述べた。
システム起動時には、アプリケーションサーバ側とクライアント側のモジュールを比較し、違いがあれば、新しいモジュールをクライアント側に送信して動作する仕組みのため、「管理者はアプリケーションサーバ側のモジュールを管理するだけでよく、管理の手間を大幅に省ける」という。
今回、この技術を建設業務向けERP「建設WAO」に搭載したのは、「1件1件の利益が薄い建設業では、リアルタイムなデータ把握による経営効率化が、赤字を防ぐ重要なポイントとなるため」(福田氏)。
建設WAOは原価管理、見積もり・積算、工事管理、営業管理の4つのシステムを持ち、1つのデータベースで全データを管理する。例えば、全国に点在する支店や建設現場に設置したクライアントから、あるシステムにデータが入力されると、瞬時にデータベースに蓄積されるとともに、他のシステムにもデータが反映され、経営状況をリアルタイムで一元管理できる。
一方、営業管理システムには「見積もり」「受注伺い」「受注」といった営業活動のステータスごとに、各種データを入力する画面を用意。1つ1つのプロセスを確認し、後からさかのぼって調べられるよう配慮したことで、「姉歯事件以降、建設業界で特に重視されている品質管理やトレーサビリティはもちろん、内部統制や工事進行基準への対応にも役立つ」(福田氏)という。
導入のしやすさも特徴で、「そもそもサーバに負荷をかけない仕組みとしているため、350ユーザーが同時アクセスしても、サーバ3〜4台で対応可能。部材などマスタデータが数十万項目ある場合も、クライアントサーバシステムなみの操作性で、確実・迅速にデータ処理できる」という。
福田氏は「建設WAOは今年度中に10社への導入を目指すが、一方で、WAOテクノロジーを使って自社の基幹業務システムを構築してほしいといった引き合いもある。今後はオービック、PCA、弥生、OBCといったパートナー企業とも連携して、WAOテクノロジーのさまざまなアプリケーションへの活用を検討していきたい」と述べた。
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