ワイヤレスジャパン2009

AndroidとWinCEを同時起動、ヴイエムウェアがデモ

2009/07/22

 ヴイエムウェアが携帯端末の仮想化市場に乗り出す。7月22日から東京ビッグサイトで開催した「ワイヤレスジャパン2009」でモバイル向けの仮想化ソリューション「VMware MVP」(Mobile Virtualization Platform)を展示。モバイル向けOSのAndroidとWindows CEが同一端末上で起動できる様子をデモンストレーションしている。

vmware01.jpg TIの評価用端末でAndroidとWindows CEの両方を起動するデモンストレーション。オーバヘッドは5%程度という
vmware02.jpg TIのチップを搭載するNokia N800でも同様に複数OSを起動できる。左の画面は起動時のブート画面。これはテスト用で、実際に出荷される端末では、こうしたブートローダーは見えなという

 ヴイエムウェアは2008年11月に、モバイル端末向けのリアルタイムハイパーバイザを開発するフランスのベンチャー企業、トランゴ・バーチャル・プロセッサを買収。これをベースにしたVMware MVPを発表している。VMware MVPはマイクロカーネルベースの独自ハイパーバイザで、メイン部分は30KBとコンパクトなのが特徴。ドライバ類などを含めても1MB以下と小さい。これはLinuxのカーネルモジュールとして提供されるKVMを利用するのに比べて、ひと桁小さい(PC向けハイパーバイザは20〜40MB)。また、“GPL汚染”を懸念する携帯キャリアなどにとっては、GPLライセンスが適用されるオープン系のソフトウェアスタックと、既存のソフトウェア資産の明確な分離も強いニーズがあるポイントだという。

 VMware MVPを利用すると、PC向けの仮想化技術と同様に、隔離された仮想環境上で複数のOSを実行できる。このため、ビジネス用途とプライベート用途で2つの環境を使い分けつつ1台の端末で済ませたいというニーズや、DRMや認証、課金といったセキュリティの確保が重要なケースで既存のOSを使いつつ、オープンなOSを搭載するといったニーズに応えられるという。ユーザーインターフェイスは現在まだ開発中だが、例えばAndroid端末のデスクトップ上に置いたアイコンをクリックすることでWindows Mobileの表計算ソフトを起動するといったことが可能だという。

 技術面では、デバイスドライバの抽象化を行うことで、異なるOSやチップセットごとにドライバを移植する必要がなくなることも大きなメリットという。

 現在ヴイエムウェアはグローバル市場でキャリアと交渉中で2010年から2011年にかけて対応端末が登場するという。国内からVMware MVP搭載端末が登場するかどうかについて、ヴイエムウェアは公式なコメントを避けているが、「日本市場でやらないなら、ワイヤレスジャパンでブースを出していない」(担当者)と、日本のキャリアと交渉中であることを示唆した。

(@IT 西村賢)

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