穴が開くほどデータを見ているか?
LinkedInが語る、スタートアップ企業のためのデータ予測分析
2012/06/22
6月22日、LinkedInのチーフ・データ・サイエンティスト、ピーター・スコモロチ(Peter Skomoroch)氏が来日。Open Network Labが主催する「Onlab [DATA] Conference」で、スタートアップ企業におけるデータ予測分析について語った。Onlab [DATA] Conferenceは、今回が第1回目の開催。シリコンバレーから各分野のスペシャリストを招き、『サービスローンチ後の戦略』をテーマにディスカッションを行った。
スコモロチ氏は、データ予測分析の重要性について述べた。Webビジネスに携わっている人は「データを見る」というと、普通、遅延やコンバージョンレートを見るが、それらにはあまり大きな変化はなく、横ばいのデータがほとんどで、この平均値を見ても意味がないのだそうだ。
データを見るときは、平均ではなく、もっと深堀りしたデータを見なければならないという。例えば、ユーザーが何を見て、いつ、どのようなアクションを起こすのか、どのような順番で行うのか、といったことである。もちろん、ユーザーがそのサービスから脱退したときも、データベースを消してはいけない。アプリを削除したタイミングなども記録しておくことが大切である。
では、なぜ、これほどまでにデータがスタートアップ企業にとって重要なのか。「データは、自分のサジェッションである」と、スコモロチ氏はいう。データを見ることで、自分のビジネスや領域における課題が見えてくるのだそうだ。「よく、“成功には『データ』と『直感』が必要である”といわれるが、それは少し違う。直感は、単なる『直感』ではなく、体験によるアルゴリズムに基づく直感でなければならない」(同氏)。
スタートアップ企業は、まずは1つの数字をとにかくじっくり見ることから始めるのがよいと提案する。例えば、物理学者は難しい問題をそのままでは解けないのだそうだ。難しい問題が提示されたらどのようにするのかというと、答えは「難しい問題を簡単な問題にし、それを解く」そうだ。そのほうが短時間で問題を解決できるという。
最初は、ユーザーの行動情報を見ると良いだろう。ただし、そのときに、平均を見てはけない。年齢、国、最初に訪問したときにどれだけ他の人とコネクションがあったのかなどの要素を見るべきであると同氏は話す。データ分析における4つの原則をスコモロチ氏は「分析(Analyze)、即座に作ること(Improvise)、リソースを生かして予想すること(Anticipate)、現実の世界にどう順応するかということ(Adapt)」であるという。
プロのデータサイエンティストを雇うのであれば、自分の考えを形にできる人、つまりコーディングができる人を雇うべきである。さらに欲をいえば、科学に造詣が深い人物ならばなおよい。
ただし、データサイエンティストに関与してもらう時期は、どのようなサービスを提供しているのかによって異なる。データやアルゴリズムがそのサービスにとって最も重要である場合は、初めから関与してもらったほうがよいだろう。しかし、Instagramなどの写真投稿サービスやコンシューマー向けのゲームなどの場合は、まずユーザーにそのサービスを使ってもらうことが先決となる。従って、データサイエンティストに入ってもらうのは、その後のタイミングである。
ただ、いずれの場合も、初めからユーザーにデータをキレイに登録させる仕掛けを考えていた方が良い。都市や国を選択肢から選んで入力してもらうようにサービスを設計することも、データを整理するという意味で重要な要素であるという。
今回のプレゼンテーションの中で、スコモロチ氏は「あなたは、穴が開くほどデータを見ていますか?」と終始会場に問いを投げかけていた。
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