[Analysis]

トンネルを抜け出したいHP

2001/05/25

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 ヒューレット・パッカードのユーザー・カンファレンス「hp world 2001」が5月22日と23日の2日間開催された。HPにとって厳しい結果となった2001年度第2四半期決算発表直後でもあり、オープニングの挨拶で壇上に上がった日本HP代表取締役社長の寺澤正雄氏の表情は、必ずしも明るいものとはいえなかった。

 業界全体の傾向とはいえ、同社の2001年度第2四半期の業績も厳しいもの。売上高は前年同期比4%減の116億ドル、純利益は前年同期比66%減の3億1900万ドル。3000人の一時解雇も発表され、経営体制の立て直しが図られている。

 広範な事業を展開している同社だが、好調なのはプリンタやコンシューマー向けPCで、サーバではIBMやサンを相手にシェアを落としている(米IDCの調査では、2000年の出荷台数で同社は4位。前年の3位から後退)。プリンタやPCはマーケットの飽和が予想されるが、どの事業も継続していく模様だ。サーバやストレージなどは、ITへの投資が伸び悩んでいるのに加え、IBMやサン以外にも価格で差別化を図るデルの追い上げなど、当面苦しい戦いが続くことが予想される。

 サービスやソフトなどから収益を得られるよう体質の変換を図る同社は2月に「Netaction」を発表し、開発・統合プラットフォーム分野に進出、ミドルウェア市場の強化・拡大に乗り出した。確かに、ミドルウェア市場は今後伸びが期待される市場ではあるが、この市場でも楽な戦いは望めそうにない。後発となる同社は、すでに地位を確立したIBMやサン、BEAのシェアに食い込んでいかねばならないからだ。

 同カンファレンスの2日目の基調講演では、HPラボでの研究も紹介された。米パロアルトにある同施設は世界第2位の規模を誇る研究施設。ここから誕生する技術とともに“技術のHP”の巻き返しに期待したい。

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