[Analysis]

日本のITベンダの厳しい夏

2001/07/31

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 2001年になり、米国のハイテク企業の業績悪化がよく報じられているが、日本のITベンダも苦戦を強いられていることが明らかになった。

 7月27日、富士通は2001年度第1四半期の決算を発表した。売上高は1兆897億円で前年同期比1.7%増となったが、営業利益はマイナス423億円(前年同期の約3倍の赤字増)、純利益はマイナス554億円(同約4倍の赤字増)と損失額は拡大した。同社は、今後の業績予想の下方修正を行うとともに、人員削減の計画も発表している。

 NECやソニーでも成績は振るわなかった。NECの今年度第1四半期の決算発表によれば、売上高は1兆1246億円で前年同期比6%増、営業利益は前年同期30%減の37億円、純利益が同28%減の8億円となっている。ソニーは、売上高1兆5651億3000万円(前年同期比4.6%増)、営業利益は30億300万円(同約90%減)、純利益にいたっては、赤字幅3倍拡大の92億4220万円の赤字を計上した。

 いずれの企業も、PCや携帯電話の生産減による半導体の需要の落ち込みや価格低下を主な原因としており、改善の見通しは立っていない模様だ。取り巻く環境も芳しくない。参院選で勝利を納め、いよいよ本格的な構造改革に入ると思われる小泉内閣だが、成果はすぐには期待できないだろう。米国の景気も好転の兆しはなく、当面は外的要因による業績の回復は望めそうにない。

 各企業では現在、米IBMやHPのように、ソリューションの提供およびサービスで収益を得る体質へと変換を図っている。その自力回復へ向けて、リストラなどの体制の変化を余儀なくされるかもしれない。日本のITベンダにとって、厳しい状態が続きそうだ。

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