[Analysis]

オンライン認証技術をめぐる勢力構図

2001/10/10

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 9月20日に米マイクロソフトが同社のオンライン認証技術「Passport」を開放することを明らかにし、その6日後には、米サン・マイクロシステムズが同様の技術のアライアンスを発表した。その名も「Liberty Alliance」――“Liberty”には、自由、解放、権利などの意味がある。サンでは同アライアンスの目的を、「オープン環境でのID情報を保管し、シングル・サイン・オンを実現する技術を中立的に構築すること」としており、明らかにマイクロソフトの独占を阻止しようというものだ。同アライアンスには現時点で33社の企業が参加している。

 オンライン認証はインターネット上のID(身分証明)のような役割を持つ。Passportにしろ、Liberty Allianceにしろ、「名前、住所、クレジットカード番号などの個人情報をインターネット上に登録・保管することにより、インターネットで展開している様々なサービスをより容易に利用できるようになる」というのが大まかな共通機能だ。それが実現すれば、サイトごとに個人情報を入力する必要がなくなり、ユーザーの利便性が増すといわれている。

 マイクロソフトのPassportは同社の戦略「.NET」の中核をなす。Hailstormというコードネームで呼ばれてきた一連の認証システム「.NET My Services」は、広く普及しているWindowsを後ろ盾に、インターネットの世界で有利な立場を築こうという同社の戦略だった。だが、Passportについて、個人情報を一社が握るのは支配的だとする意見が上がっており、他社へ開放するという今回の方針転換は、この世論を考慮したものだと思われる。.NET My Servicesの詳細に関しては、10月末に開催予定の同社のカンファレンス「Professional Developers' Conference」で発表される予定だ。

 サン率いるLiberty Allianceの登場により、インターネット認証に関し少なくとも2つの陣営ができることになる。すでに多くのユーザーを抱えるAOLやYahoo!の今後の動きが注目されるが、認証システムの統合はすぐには起こらないというのが大筋の見方だ。

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