[Analysis]

ベンダの姿勢が問われるLinux

2001/10/26

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 Linuxは組み込み市場や企業システムなど着実に裾野を広げつつある。次の大きなターゲットといわれるハイエンド・サーバ市場に関しては、ほぼ全てのベンダが支持を表明するなど、拡大に向け条件がほぼそろったかのように見える。しかし、変化はすぐには起こりそうにない。

 10月24日、25日に開催された「LinuxWorld C&D/Tokyo 2001」にて、サーバでのLinuxの市場性について語ったIDC Japan サーバーリサーチマネージャー 塚本卓郎氏は、今後の課題を「システムベンダのエンドユーザへのサポート」と断言した。現在、LinuxはWebサーバなどのアプライアンス(単機能)・サーバの90%、IA(インテル・アーキテクチャ)ベースのPCサーバの7%を占める。2005年には、アプライアンス・サーバでは引き続き高いシェアを維持し、IAサーバではシェアが2ケタに達する見込みという。

 すでに認知度はほぼ100%となったLinuxを、「導入予定」とする企業は約半数といわれている。ユーザー側の需要を喚起する要因は、低コスト性、オープン性など。一方、導入をためらう原因は、保証に対しての不安にあるようだ。それに対し、ベンダ側は、ユーザーからのLinuxに対する高い関心と需要、さらにはシステムコンポーネントとして見た低コスト性に後押しされ、支持を表明してはいるものの、塚本氏によれば、「システムインテグレートなどサービス部分で収益性がどのくらいあるのかを見極めている段階」という。

 あらゆる市場は需要と供給のバランスで成り立つ。しかし、企業システムでのLinuxに限って市場を見ると、供給側の対応により市場のパイそのものが変動する可能性が高く、供給側がハンドルを握っているといえそうだ。これは、真剣にユーザーのニーズをくみ上げたベンダが、この新しい市場において競争優位に立つことができると言い換えることができる。

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