[Analysis]

関心高まるプロセス改善手法

2001/11/16

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 技術の変遷は目覚しいが、それを利用するアプリケーション開発という業務そのものに関しては、これといった革新的な変化は起こっていない。IS部門の費用を見ても、20%はソフトウェアやハードウェアに、80%は人件費に割かれるという図式はここ何十年と同じだ。それどころか最近では、コスト削減や納期短縮といったプレッシャーは強まるばかり。さらに、スキルを持つ人材は慢性的に不足……、と開発者の悩み・負担は増える一方だ。そういった環境下では、資産や技術は使い捨て状態で無駄が多く、質の良いアプリケーション開発の実現はなかなか難しい。この現状をなんとか変えようと、いくつかの手法が編み出されており、注目を集めつつある。

 その1つがCMM(Capability Maturity Model:能力成熟度モデル)である。もともとは米カーネギー・メロン大学ソフトウェア工学研究所で生まれ、米国防総省などでベンダを評価する際に用いられたという経緯をもつ。日本では、経済産業省が日本版CMM策定を積極的に推進するなどの動きから、一気に関心が高まった。ガートナー ジャパンでは、CMMレベル2を取得するアプリケーション開発アウトソーサーおよびサービス・プロバイダは2年で3倍に増えると予測している。その他にも、現場レベルとして、オブジェクト指向技術を用いた開発手法であるUML(Unified Modeling Language)やXP(エクストリーム・プログラミング)などの開発手法も注目を集めた。

 ガートナー ジャパン ジャパンリサーチセンター ディレクター 丹羽正邦氏は、効率の良いアプリケーション開発のために、ツールとテストを長期的・戦略的に用いる、技術の前に方法論、組織が方法論を適用させる(手法に組織を合わせるのではない)、トップダウンによる概念の徹底などを挙げている。どの方法論を用いるにせよ、組織の現状を把握し、目標や測定基準を設定するというステップを踏まずして効果は望めない。何よりもまず、組織内の人間1人1人が変えたい・改善したいという意識を持つことが大切であることは言うまでもない。

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