[Analysis]
2002年のIT業界、成長分野は何か?
2001/12/14
今年はIT業界にとって決して繁栄の年ではなかった。この感触は、日本でも、米国をはじめ諸外国(中国やインドは例外だろう)でも、共通したものと言えるだろう。日本の場合、アメリカほど大きなドットコムバブルは起こらなかったため、ドットコムバブル崩壊による打撃はそれほど大きくはなかった。むしろ原因は、低迷状態を脱しきらない日本の景気という、“構造”にあるといえるかもしれない。この状態はいつまで続くのか? 来年はさらに悪化するのか、それとも追い風が吹くのか?
調査会社のガートナー ジャパンおよびIDC Japanによると、IT業界に関しては悲観することはないようだ。2社それぞれ数字は異なるものの、ITサービス市場全体は、2005年まで年平均成長率7〜8%台で成長するとしている。
気になるのはその中身だ。いずれも、成長分野としてアウトソーシングを、伸び悩む分野としてハードウェアの保守・サポートを挙げている。アウトソーシングに関しては、11〜12%の年平均成長率で成長すると見込まれている。このカテゴリの中には、アプリケーションをネット経由で提供するASP、ネットワークなどのITインフラの処理・管理などが含まれる。特に後者に関しては、“AIP(Application Infrastructure Provider)”として、米国では1年ほど前から注目されている分野だ。
これらの動向予測から言えることは、機器全てを自分で持つという従来のモデルから、必要なものだけを自前で管理し、残りは専門家のサービスにゆだねるという移行が本格的に起こりつつあるということだ。企業・組織における情報システムに関する考え方が変わってきたことの表れだろう。
ITが企業にとって、“不可欠なもの”で終わるのか、それとも“利益を生むもの”へと発展するのか、この先、ユーザーによってその差がより明確になるだろう。いまは、その過渡期にあるといえる。
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