[Analysis]

マイクロソフト、試練のときはこれから

2002/01/22

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 米マイクロソフトが好調だ。同社の2001年10〜12月(第2四半期)の決算発表によると、前年同期に比べて売上高が18%増加し、過去最高の77億4000万ドルに達した。同社によると、その理由は3製品――Windows XPとXbox、それにMSN 7にあるという。

 Windows XPは、アナリストの事前予測を覆し、売上高は記録的な数字となっている。Windows XPの発売前、複数のアナリストは、企業はアップグレードの必要性がないと判断し、Windows XPの導入は進まないと予測していた。さらに、発売後次々とセキュリティホールが見つかったことから、当面Windows XPの導入を見合わせるべきだという主張も出た。しかし、実際に蓋を開けてみると、過去に例がないほどのスタートダッシュとなった。Windows XPの全世界での販売本数は、発売後2カ月だけで1700万本以上。この本数は、Windows 98の3倍以上、Windows Meの2倍以上になる。

 XBoxは、同社の“お荷物”になるのではと懸念する声もあったが、XBoxがいち早く発売された米国では、すでに150万台(昨年12月末まで)を売り上げた。さらに米国で提供が開始されたMSN 7により、MSNの加入者数が伸び、現在800万人となり(一部のサービス利用者を含む)、こちらも同社の売り上げに貢献している。

 しかし、マイクロソフトには決算の好調さに浮かれている時間的余裕はない。Windows XPとXBoxに関しては、これからが本当の意味で正念場・試練となるからだ。Window XPの発売直後の売り上げは、多くは新規導入やコンシューマ向けのもの。今後は、企業ユーザーがWindows XPにアップグレードさせるための環境作りが重要になる。具体的には、Windows XPのセキュリティ対策やサポート体制などがある。こららが成功しなければ、Windows XPの一層の普及と売り上げの拡大は望めない。XBoxに関しては、日本での発売が2月22日に、欧州での発売が3月に待ち構えている。日本のゲーム機ベンダとの本格的な競争にいかに乗り切るかによって、同社の収益を大きく左右する要素となる。

 決算からは一人勝ちかのように見えるマイクロソフトだが、今後の同社の戦略によっては、今回の好調な決算が、成長から停滞へのターニングポイントになる可能性もある。

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