[Analysis]

SAN市場はバラ色か?

2002/01/25

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 SAN(Storage Area Network)は、LANとは別のネットワークにサーバ、テープライブラリ、ディスクアレイなどの装置を接続するネットワーク・ストレージシステム。ストレージの統合、LANフリーバックアップなどのメリットがあり、これまで主流だったサーバ直結型(DAS)の次のストレージシステムとして、数年前から注目を集めてきた。だが、ユーザーはマルチベンダ環境における相互接続性などに対し根強い不安を抱いており、日本では当初予想されたほど普及が進まなかったのが現状だ。ところが、ここにきてにわかに市場活性化の兆候が見えてきた。

 IDC Japanによると、2001年のネットワークストレージ(SANおよびNAS)の日本における普及率は16%で、前年の7%から倍以上伸びた。米国ではすでに23%を占めるネットワークストレージだが、普及が遅れた原因については、「データ量が少なく、管理に対する意識が低かった」と分析している。2000年時点での日本のディスクシステムは、メインフレームが34%を占めるなど、メインフレームベンダがストレージ市場の主導を握っていたことも関係しているだろう。だが、データ量の増加、システムの複雑化など、SANのブレイクを後押しする条件はほぼそろった。ベンダ側もこうした動きに対応してきている。EMCのほか、日立製作所、富士通などの国内メインフレームベンダも、オープンシステムに積極的に取り組んでいる。

 今後50.7%の年平均成長率(CAGR)で成長し、2005年にはDASを、出荷金額、比率ともに上回るとの予測もあり、ネットワークストレージの未来はバラ色かのように見える。だが、IDC Japanのユーザー調査によると、相互接続性、不鮮明な投資効果など、SANに対してユーザーは相変わらず不安を抱いているだけでなく、25%の企業が「知らない」または「メリットがわからない」と回答するなど、依然として認知度が低いことも明らかになった。ベンダ側には、啓蒙から検証・サポートまで、幅広い課題を解決する努力が求められている。

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