[Analysis]
マイクロソフトの“いつでも・どこでも”を実現するMira
2002/02/21
マイクロソフトが今年に入って明らかにしたコンシューマ向け技術“フリースタイル(Freestyle)”と“ミラ(Mira)”は、家庭におけるコンピュータの存在を大きく変える可能性を秘めている。同社の思惑通りにことが運ぶと、.NET構想で示したマイクロソフトの“野望”が現実味を帯びたものとなりそうだ。
この2つの技術は、今年初めのCES(Consumer Electronics Show)で同社創業者兼チーフ・ソフトウェア・アーキテクトのビル・ゲイツ(Bill Gates)氏により発表された。
フリースタイルは、新しいユーザー・インターフェイスで、通常のPCの機能をすべてサポートし、家庭内の“メディア・センター”へのアクセスを可能とする。一方のミラは、モニタやTV画面にインテリジェンスを付加した表示技術。電話に例えるなら、Windows XP搭載のホストPCが“親機”で、Windows CE .NET、および無線通信技術を組み込んだミラ搭載機は“子機”にあたる。
先日、日本でこれら新技術の説明を行った同社 アドバンスト・ストラテジー&ポリシー日本担当 バイスプレジデント 古川亨氏は、マイクロソフトのビジョンの変遷に触れた。「1975年の創業以来、“全ての机に、家庭に、コンピュータを”とのビジョンを掲げてきた。ターニング・ポイントとなった2000年からは、“いつでも、どこでも、どんなデバイスでも、優れたソフトウェアで可能性を広げる”という.NET構想に転換した」(古川氏)。これまでの一連の.NETの動きがビジネスユーザーを対象にした展開だったのに対し、2つの新技術、および今日発売の「Xbox」は家庭ユーザーを対象としたものだ。また、発表時には明言されなかったが、同社がこれらとオンライン個人認証技術“.NET My Services”を組み合わせる計画を立てていることは間違いないだろう。
ミラやフリースタイル、そしてXboxも、同社がWindows 95発売で引き起こした、家庭におけるPC革命の延長線上にある。同社のいう“いつでも、どこでも……”を家庭で実現するとき、現在家庭でPCを利用しているユーザーがやっとその使い方に慣れたことを考慮すると、さらに家庭にコンピュータを普及させるためには、PDAなど小型端末よりもPC似のMira搭載機というアプローチの方が正解かもしれない。
両技術を搭載した製品は今年末にも市場に出てくる見込みだ。“eホーム”という新しいキーワードに代弁される、家庭におけるコンピュータの浸透を大きく加速するものとなるか、注目したい。
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