[Analysis]

IP電話の将来を握る東西NTTの思惑

2002/03/12

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 フュージョン・コミュニケーションズ、ソフトバンクグループなど新しい通信事業者が昨年、IP電話市場への参入を続々と発表した。そして、沈黙を守っていたNTT東日本/西日本が、IP電話市場に本格的に参入すると一部で報じられた。

 「IP.net JAPAN 2002」でNTT東日本関係者は、すぐにIP電話には参入しないが、IP電話の開発を現在行っている事実は公表した。ただし、サービスや運用の時期に関しては慎重に進めたいという。

 NTT東日本/西日本がIP電話への対応を慎重に進めている理由は、IP電話で使用するプロトコルにはデファクトスタンダードがないこと、総務省によるIP電話の着信専用番号として「030」が発表されているが確定していないことが挙げられる。

 しかし、最もNTT東日本/西日本がIP電話の参入に関して慎重な理由は、110番、119番など緊急電話への対応や生活インフラとして成り立つかという問題がある。

 既存の電話が、全国の生活インフラとして定着していることから、IP電話も同様に「どこでも」「いつでも」「だれでも」使えるという安定したサービスが保証できなければならない。また、災害時、緊急時などの従来の電話と同等の機能、用途が確保できて初めて運用に踏み切れるのだろう。

 NTT東日本関係者は同社ホームページ上で、IP電話の今後の同社の役割りは大きいとする一方で、全国隅々まで高速通信網などのインフラを完全に整備することはできないことから、IP電話一色になることはないと、既存電話の存続も示している。しかし、巨大NTTグループが今後国内のIP電話の実施の展開を左右することは明らかであり、その動向は業界に取って要注意だ。

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