[Analysis]

BEAとIBM、戦略のちがいが示すもの

2002/03/15

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 アプリケーションサーバ・ベンダのBEAシステムズにとって、先月末に米国で開催したカンファレンス「eWorld 2002」は一種の転機となった。同カンファレンスで同社は、Webサービスのフレームワーク製品「BEA WebLogic Workshop」を発表、アプリケーションサーバWebLogicをコアとしたWebサービス時代の戦略と、それに基づく製品ラインナップを市場に示した。そして、いまだに多くのユーザーをかかえるTPモニタ「BEA Tuxedo」の名前は表舞台からは遠ざけられたように見える。

 創業7年目の同社は、多くのIT系新興企業がそうであるように、買収により急成長してきた。主力製品WebLogicも旧WebLogic社から買収したものだ。その同社の強みとして、同社創業者兼CEO アルフレッド・チュアング(Alfred Chuang)氏は技術力を強調、ここで他社と勝負していくと述べた。確かに、VisualBasicプログラマなど非Javaプログラマ層も潜在マーケットとするWebLogic Workshopの登場で、技術的には優位に立っているという見方ができる。

 一方で、アプリケーションサーバ市場で激しい攻防を繰り広げているライバルIBMは、TPモニタMQ Series製品群を「WebSphere MQ Family」としてWebSPhereブランドに統一した。そして、既存IT資産を生かすというメッセージを表に出し、厳しい経済環境という背景も相まって、先進技術に対して保守的なユーザー層やメインフレームなどのレガシーな資産の効率化を望むユーザーからの支持を得ている。

 どちらの戦略が正しいのかは、後にならないとわからない。が、データベース市場でIBMに追い上げられているオラクルがよい例であるように、専業ベンダは、総合ベンダとして力をつけてきたIBMと、新しい競走のフェイズに入った。BEAがこの転機をうまく乗り切り、業界に安定した地位を築けるか、いまが正念場といえるだろう。

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