[Analysis]

相次ぐ米キャリアの破綻、ネットワーク機器業界の注目はアジアへ……

2002/03/26

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 2001年から2002年にかけて、米国のiDCやISPなどのキャリア系事業者の“はたん”が相次いでいる。その中には、2001年6月のPSINetから始まり同年のExodus/Excite@Home、そして2002年2月のGlobal Crossingと、業界でも大手の名前も登場している。この原因は、1999年後半から始まったIT不況により需要が伸びなかったにもかかわらず、事業者間の競争によりサービス単価が下がり、各社の収益を圧迫してしまったことにある。もともとキャリア系の事業は、サービス開始以前に大規模な設備投資が必要となる。実際、設備投資を始めてから収益回収フェイズに入るまで、4〜5年のスパンは必要だといわれており、今回の相次ぐ“はたん”は、この回収フェイズにおいていくつもの不幸が重なった結果である。「事業計画が甘かった」といってしまえばそれまでだが、変化が激しく将来が予測しにくいインターネット業界、回収フェイズに入るまでのスパンが長いこの業界でビジネスを行うことの難しさを表している。

 この状況下において注目すべきなのが、ネットワーク機器ベンダの動きだ。暗いニュースが続くなか、積極的に新製品の発表を行っている。これら新製品は世相を色濃く反映したのか、「少ない投資で最大の効果を!」「新しいサービスを迅速に開始!」が共通の売り文句となっている。例えば、最近よく発表されている「エッジ・ルータ」。これは、キャリアの中央ネットワークと顧客ネットワークの境界(エッジ)に配置するルータで、各種サービス・レベル(QoS、SLA、課金など)を決定する重要な部分だ。中央部分に配置されるコア・ルータより単価は安いが、その分リプレースも容易である。EoMPLS(Ethernet over MPLS)といった技術を利用することで、中央ネットワークはそのままに、エッジ部分の変更だけで新たなサービスの提供開始も可能となる。

 また最近よく見受けられるのが、日本や周辺のアジア諸国に対して本社の要人が直接出向き、製品のアピールを必死に行っている姿だ。「元気のない米国より、有望なアジア市場へ」という考えがあるのだろう。日本を例に挙げると、IP-VPNや広域イーサネット(もしくはMAN)といったサービスがここ数年の大きなトレンドである。米国とは異なり、現在のところ順調にサービスを拡大していっている。また日本以外では、経済成長が著しく世界最大のマーケットとして注目を集める中国がある。まだ実績の少ない新興ベンダにとっては、この新しい市場は魅力的に映ることだろう。

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