[Analysis]
システム開発の現場とUML
2002/03/29
UML(Unified Modeling Language:統一モデリング言語)への関心が高まっている。ここ数年、専門書やツールなどが出揃った。先日東京で開催されたUMLのイベント「UML Forum/Tokyo 2002」では、事例紹介や、開発の現場にどう活用するかなどが積極的に議論され、導入が広がっていることを裏付ける内容となった。
UMLの誕生の背景には、効率の悪いソフトウェア開発を何とかして成熟させようという当時の先駆者たちの望みがある。1980年代、同じ問題意識のもと多数発生したさまざまな方法論を統一して、1995年に誕生したのがUMLだ。オブジェクト指向に基づくモデリングの表記法を統一しようという野心的なビジョンのもと、モデルを視覚的に表現したUMLは1997年にOMGの標準となり、現在では57の企業が参加してさらなる仕様策定が進められている。
最大の特徴は、特定の言語やアーキテクチャ、実装技術に依存しない点。当初からUMLを用いてきたという米ウェルズファーゴ銀行では、ユースケースが開発とビジネスの両サイドで参照可能であるという特性や、シーケンス図を評価しているという。日本でも製造業系システムでUMLを使いこなすケースが見られるとOMGジャパンの関係者は語る。
年内にも発表される予定のUML 2.0では、振る舞いのダイアグラムや細かな業務の表記の拡張などが強化されることになっている。だが、こういった技術面での課題の克服よりも難しいのが、意識の改革だ。開発現場の意識を変えていくには、長期戦を覚悟して取り組まなければ容易には実現しない。今回のイベントのように、UMLで享受できるメリットを提示し、指標を交えて事例を紹介するなど、OMGやツールベンダなど関係者が一丸となった息の長い取り組みが求められている。
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