[Analysis]

PCベンダの値上げ決断は、凶か吉か?

2002/05/01

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 電子情報技術産業協会(JEITA)の発表によると、2001年度の日本におけるPCの出荷台数(輸出を含む)は、1136万6000台で、前年度比でマイナス12%だった。昨年11月のWindows XPの発売は、需要回復の起爆剤とはならなかったようだ。

 そのような中、各社は次期PCの新モデル(いわゆる夏モデル)の価格を引き上げる。その背景にあるのは、円安による部品などの価格上昇、液晶パネルやDRAMの値上がりだ。各社ともPCの不振による赤字が大きいこと、経費削減にも限界があり、今回約2万円程度(モデル価格によって異なる)の値上げを決めたようだ。一方、最近TVコマーシャルも開始したデル・コンピュータは強気だ。「一部低価格モデルでは多少の値上げはするが、ほかは値上げしない。経費の削減や為替予約などで十分対応可能だ」という。

 各社は、値上げによって採算性を改善し、2001年度赤字だったPC事業を今年度に黒字化したいというのが本音。しかし、値上げによって販売量が落ち込むと、各社のPC事業の採算性は、悪化する可能性がある。それを避けるには、ソニーのように他社と異なる製品差別化を図り、値上げの影響を最小限にしたいところだが、そのような戦略を打ち出すことができるのか、消費者は納得するのか、今後の各社の発表を見守りたい。

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