[Analysis]
良くも悪くも予想どおりの新HP
2002/05/10
先週末に晴れてコンパック・コンピュータとの合併を法的に果たした新ヒューレット・パッカードが5月7日に新会社の経営陣や戦略などを発表した。業界をあっと驚かせた合併発表から8カ月、新生HPがいよいよ動き出す。
この日、同社が発表した4つのユニットで構成される事業体制や製品ロードマップは、買収計画発表時に明らかにした計画と大幅な変更はなく、ほぼ予想どおりといえる。経営陣も、当初の発表どおり、HPのCEO、カーリー・フィオリーナ(Carly Fiorina)氏がそのままCEOに、コンパックのマイケル・カペラス(Michael Capellas)氏が社長に就任、と目立った変更はなく、“HPらしい”良くも悪くも期待を裏切らない合併となった。また、この合併に伴い1万5000人のレイオフなどで25億ドルの経費削減を実現し、40億ドルを研究開発費に充てることも発表している。
「新生HPは最も広範かつ最高の製品ポートフォリオやソリューションを提供できる」とする新CEO フィオリーナ氏は、新規獲得案件を並べ買収のドタバタ劇がマイナスに作用していないことを強調する。同社によると、HP、コンパックの両社それぞれが合併発表後にサービスを中心に新規契約を獲得、その額は総計53億ドルに達するという。だが、同社がライバルとするIBMがこの間にさらなる差をつけたことは否めない。IBMの業績は総じて堅調で株価も上昇しているし、ブランディングに関しても、ハードウェア、ソフトウェア、サービスなどほぼ全方位をカバーすることで顧客に安心感を与えるという、景況感を逆に味方につけたアプローチで成功を収めている。
新生HPのロードマップが精彩に欠くとしたら、その原因は大胆な“選択と集中”が行われなかったためだろう。例えば、いくつかの製品において残るコンパックブランドや、OpenVMS、netactionの継続といった点は中途半端な印象を残し、フォーカスが見えない。また、分野によっては既存顧客以外は分かりにくい製品ラインナップとなっているものもある。
HPは今後、“The New HP is Ready”というメッセージを大々的に打っていく。1カ月以内に新サイトをオープンするなど、IT史上最大規模といわれる合併作業が着々と進められていき、景気回復が予想される今年中には体制を整えたいとしている。市場は待ってはくれない。その間も変化を続けていく。フィオリーナ氏が現在の市場の期待を良い意味で裏切ることができるかどうか、この半年が勝負だろう。
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