[Analysis]

IP-VPN導入を後押しするのは?

2002/05/17

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 2000年後半より注目されつつあるIP-VPN、その導入が日本でも進みつつあるようだ。今年2月にIDC Japanが行った調査によると、現在IP-VPNを導入している企業は9%程度で、大企業を中心に導入が進んでいるという。その普及を加速する要因と阻害する要因がいずれも、セキュリティとコストだということが明らかになった。

 IP-VPNはインターネットベースとIPベースの2つに大別できるが、日本ではサービス・プロバイダが提供するIPベース主導で実装が進んでいる。そのメリットは、サイト間の接続、リモートアクセス、コストなどといわれているが、IDCが世界規模で行った調査結果を見ると、リモートアクセスの手段としての利用が最も多い。よく言われるサイト間接続手段としての利用はあまり進んでいないという実態が判明した。また、ユーザーの今後の計画としても、サイト間接続の実装予定はないと回答する企業が多かった。

 IDC Japan コミュニケーションズリサーチアナリスト ダニエル・ニューマン(Daniel Newman)氏によると、IP-VPNの導入が47.5%と最も進んでいる米国、日本を除くアジア諸国、欧州の市場調査によると、リモートアクセス機能としての利用が軒並みトップ。その促進要因は、通信の安全性とコスト削減。阻害要因は、安定したサービスが提供されるのかという不安と技術変更にかかるコスト。つまり、普及を促進するのも阻害するのも、“セキュリティ”および“コスト”にかかわるものなのである。

 ニューマン氏によると、それでも、日本市場は米国市場に次いで、IP-VPNの導入が進み、徐々に専用線やフレームリレーなどの置き換えが進むだろうという。IP-VPNサービスを提供するプロバイダに求められるのは、SLAなどによるサービスレベルの保証、ユーザーニーズの正確な把握、コスト対効果を示すことなどといえる。

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