[Analysis]

IBMとサンを味方に、EMCを敵にまわした日立のストレージ戦略

2002/06/11

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 ハイエンドサーバ市場では、処理能力の高さを競う時代から、情報管理能力、すなわちストレージの能力を競う時代に移行しつつある。ストレージ市場は有力な成長分野と見られているが、そこでいま注目されているのが日立製作所だ。日立はストレージ事業に優秀な人材や経営資源を積極的に投入。この分野でのトッププレイヤーを目指している。

 サン・マイクロシステムズは昨年8月、日立データシステムズとグローバル・リレーションシップ契約を締結。ストレージ製品の提供に関して協業を行うとし、サンのハイエンド・ストレージ製品は、実質的に日立からのOEM製品となった。

 しかし日立は一方で、IBMとも今年の4月にストレージ分野での戦略的提携を発表。共同で次世代のストレージ技術を開発すると発表しており、研究開発から生産、販売、マーケティングまでを一貫して行う新会社を両社合弁で設立するという。

 ストレージ分野で今後カギとなる技術は、ストレージデバイスの仮想化、そして災害対策のために地理的に離れた距離にあるストレージの複製技術だといわれている。この分野で優位にあると自負するストレージの巨人EMCは、4月にこれらに関する特許侵害で日立を告訴した。両社とも争う構えだ。

 EMCとの訴訟の結果は予想がつかないが、ストレージの分野では「EMC対日立」の2強の構図が浮かび上がりつつある。先に挙げたサンとIBM以外にも、日立はHP(ヒューレット・パッカード)、ユニシス、SGI(シリコングラフィックス)などともストレージ分野で提携を行っており、こうした提携戦略こそ、日立がEMCに対抗する強力な武器になることは間違いない。

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