[Analysis]

オラクル・デル・レッドハットの3社連合で市場はどう変わる?

2002/06/14

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 米オラクルは先週末、米デルコンピュータ、米レッドハットとともに、同社データベースにおけるLinuxサポート強化を発表した。すでにデルのハードウェア(「PowerEdge」サーバや「PowerVault」などストレージ)と「RedHat Linux Advanced Server」、「Oracle9i Database Release2」の組み合わせで、クエリ性能50%アップ、I/Oスループット4倍アップなどを実現しており、今後3社はクラスタリング技術を中心とした基幹システム向けのソリューションの開発・販売で協業する。

 オラクルは今年に入り、主力のデータベース市場においてIBMにシェアトップの座を奪われた。これはガートナーなどの大手調査会社の最新レポートで明らかになったもので、同社は巻き返しに必死だ。そこでオラクルは今回、レッドハットと協業してLinuxを採用することで、指摘の多かった価格面での課題の解決を図るわけだ。しかもこれは、打倒マイクロソフト戦略でも有効だ。ちなみにこの提携によりオラクルは初めて、米国においてOSとDBの問い合わせ窓口を同社に一本化することを始める。

 今回の提携の中心であるRAC(Real Appliaction Clusters)と呼ばれるクラスタリング技術は、9iの最大の特徴となっているもの。「RACはIBM製の巨大なサーバ以上の信頼性を実現する」とオラクルのCEO ラリー・エリソン氏はコメントしているが、複数台のサーバを用いるこの手法は、デルにとっても都合がよい。デルの今後の最重点目標はサーバ市場におけるシェアの獲得。IBMやサン・マイクロシステムズの土壌に食い込みを図るデルはこの提携で、IAサーバを売り込む格好のパートナーを得たことになる。

 また、この提携はLinuxディストリビュータの勢力争いという点からも興味深い。この世界では先日、ターボリナックスらがレッドハットに対抗してUnitedLinuxを結成したばかり。今後、パートナー戦略がさらに重要となるレッドハットにとっては、この提携によりオラクルを自社陣営に取り込んだといえるだろう。

 DB市場の勢力図、Linuxの推進とさまざまな角度から検証できるこの提携が、強者連合となるか敗者連合となるか、これは市場が決めることだろう。ただ、一番痛手を追うのは、IBMでもMSでもなく、オラクルの旧友サンかもしれない。

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