[Analysis]

また1社、アプリケーションサーバ・ベンダが去っていく

2002/06/18

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 また1社、アプリケーションサーバベンダが去っていく――。先週、米ノベルは米シルバーストリームを買収すると発表した。4月のLutris(Enhydraを提供していたベンダ)に次ぐアプリケーションサーバ専業ベンダの消滅といえる今回の発表により、シルバーストリームはあと数カ月で、6年足らずの短い歴史を終えることになる。

 先週はこれ以外にも、アプリケーションサーバ市場で注目すべき動きがいくつかあった。サン・マイクロシステムズがアプリケーションサーバ群「Sun ONE(旧:iPlanet)」を包含した新OS「Solaris 9」を日本で発表したほか、米コンパックコンピュータとの統合により事業の見直しを進めている米ヒューレット・パッカードが、アプリケーションサーバを含むミドルウェア部門を切り離すといううわさも流れた。いよいよアプリケーションサーバ分野の淘汰が本格化してきたということだろう。

 アプリケーションサーバ市場はJavaの発展とともに誕生・進化した市場だ。当初は、Javaという最新技術を用いることから、技術力のあるベンチャーが製品を提供する小さな市場で、ユーザーも先進ユーザーに限られていた。現在、IBMとトップを争う米BEAシステムズがWebLogicを買収したのは1998年のことだ。その後、ECやBtoBなどの発展と共に重要性が認識されて市場は急成長し始める。IBMはミドルウェア群を「WebSphere」ブランドに統一し、猛烈な攻勢に出た。現在、大規模なアプリケーションサーバ市場のメジャープレイヤーはこの2社のほか数社程度、中規模ではボーランドやマクロメディア、日本市場では富士通や日立製作所などでほぼ市場のパイを分け合っており、この戦いに参加しそびれた企業が淘汰されていっている状態といえる。HPは2000年末にBluestoneを買収して「Hp Netaction」ブランドとして強化し、昨年末には無償提供に踏み切るなどの追い上げを図ったものの、シェアはわずか4%程度しか獲得できていない。もし同社が市場から撤退することになれば、それは市場進出の出遅れが最大の原因だろう。

 だが、新たなプラットフォームとなりつつあるアプリケーションサーバの時代はこれからだ。今後はアプリケーションサーバ単体の競争ではなく、統合機能やポータルなどの付加価値が求められ、それに伴ってアプリケーションサーバの提供方法も変わっていくだろう。

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