[Analysis]

ブロードバンドユーザーの動向が与えるインパクト

2002/07/05

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 今週、政府(総務省)と民間(インプレス)の両方から、日本のインターネット人口や接続形態などの動向調査結果が発表された。調査方法や時期が異なることから、数字に違いはあるものの、インターネットに接続する人口は日々増加し、現時点で5000万人の大台に乗った。国民の半数がネットに接続、という状態が現実のものとなりつつある。

 特筆すべきは、そのうち2割近くを占めるのが、ADSLなどのブロードバンド接続ユーザーということだ。このブロードバンドをテーマに、動向を調査したインプレスの調査結果によれば、ダイヤルアップ接続などのナローバンドのユーザーとブロードバンドユーザーとの振る舞いは明らかに異なり、ブロードバンドユーザーは、ナローバンドユーザーと比較して、オンラインショッピングやインスタントメッセージ(IM)、オンラインゲーム、チャットや掲示板などをよく利用している。

 ブロードバンドの利点は、帯域幅の広さと常時接続性。時間を気にすることなくインターネットを享受できることから、必然的に利用形態は変わってくる。今後、インターネットでビジネスを行ったり、情報を提供しているECサイトや企業は、ブロードバンドユーザーの占める比率の推移を見つつ、コンテンツやサービスを変えていくことになるだろう。総務省では、ブロードバンド化が進むにつれ利用が増える分野として、オンラインゲームや音楽・動画のダウンロード、eラーニングなどを想定している。インプレスの調査でも、ブロードバンドユーザーは日常生活で積極的にインターネットを利用しようとしている姿勢が表れている。例えばブロードバンドユーザーの有料コンテンツの購入経験は14.7%で、ナローバンドユーザーのそれの2倍以上。さらに、63.4%が手紙・はがき、FAXなどの既存メディアの利用が減ったと答えている。

 このような現在の日本のインターネットについて、財団法人 インターネット協会 副理事長 高橋徹氏は、「質に重点を置くフェイズに入った」と述べた。総務省の調査では、「日常生活に不可欠」と回答するユーザーが66%となる一方で、個人情報の漏えいやウイルスなどに不安を抱いているユーザーが多く、同省はセキュリティ対策が急務と示唆している。インターネットの普及・浸透がもはや確実となった現在、社会インフラの一部となるための安全性、そして質の強化や確保が今後の優先課題といえそうだ。

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