[Analysis]

セキュリティ対策の遠くて近い道

2002/07/09

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 情報処理振興事業協会セキュリティセンター(IPA/ISEC)が7月5日に発表した「2002年上半期ウイルス発見届出状況」によると、2002年上半期のウイルスの届け出は、昨年の同時期の1.2倍、1万1569件であった。

 届け出件数は昨年同時期と比べ増えているものの、実際のウイルス感染率は、昨年同時期には約20%あったが、今回は9%と半減している。同センターによれば、これはウイルス対策の浸透などによって、感染前に発見されたためと推定している。ウイルスの種類のうち、最も多かったのは、「W32/Klez」の5005件(全体の79.1%)だ。

 これらの数値から判断すると、IPA/ISECのリリースにもあるように、ウイルス対策を行うユーザーが増え、感染に至っていなようにも思えるが、同時期にトレンドマイクロから発表された数値からは、多少違った様子が見てとれる。トレンドマイクロの発表では、今年上半期に同社に報告されたウイルス感染被害件数は2万8938件で、昨年1年間の2万5644件を大幅に上回る状況となっている。

 IPA/ISECとトレンドマイクロの感染被害件数の傾向は、どちらが正しいかはわからない。しかし、昨年のSircamやCodeRed、NIMDAのような感染力の高いウイルスが発生した場合、被害が拡大するかどうかは、ウイルス対策を含めたセキュリティ対策をきちんと行っているかにかかっている。クライアントPCの増加や企業のビジネスの拡大、社内ネットワークなどのシステム構成の変更などによって、セキュリティの盲点が発生していないかなど、導入後のセキュリティ対策の見直しを常に行っているだろうか? そうしたプロセス改善や社内体制こそが、ウイルスを含めたセキュリティ対策向上の遠くて近い道だからだ。

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