[Analysis]

PMツール、普及元年となるか?

2002/07/19

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プロジェクトマネジメント(PM)ツールが注目を集め始めている。PMとは、ソフトウェア開発を、時間とコストの面から管理することで開発作業の効率アップを図る手法で、欧米では1980年代よりその重要性が認められてきた。日本では、ツールが提供されてきたにもかかわらずユーザーの関心は低かったが、経済産業省による日本版CMM策定の動きや「ソフトウェア プロセスの改善に向けての提言」の発表などにより広まったCMMの認知を受け、ようやく関心が集まってきた。今年は一気に開花すると見るベンダもある。

 今回のPMブームは、経済産業省のみならず、ソフトウェア開発にまつわる状況の変化も多大な影響を与えているようだ。eビジネスの進展により、新ソフトウェア構築のニーズは増加の一途をたどっている。しかも、予算は圧迫され納期は短縮傾向にある。だが、開発者の置かれた環境はあまり改善されていない。慢性化した人材不足の中、最新技術の習得などの必要性にも迫られている。

 そのPMを助けてくれるPMツールは、すでに各社から提供されている。共通コンセプトはコスト、時間、リソース(人員)を管理することにより、納期や予算内での作業の達成や、品質の向上を目指す点。サイクルとして繰り返し利用し、計画値と実績値の比較結果を反映させることにより、さらなる効果を得られるというものだ。早くからPMを積極的に活用してきた米国を見てみると、国防省では、PMや各種の指標を組み合わせて大幅な予算削減を実現、1961年に国家予算の60%を占めていたソフトウェア開発費が、1997年には15%にまで減少したという。また、大学の一般教養としてPMのコースが設定されるほど重要性は高く評価されており、開発現場では、予測曲線にしきい値を設け、下回った場合はプロジェクトを中止するところもあるという。

 「日本は、先進国の中で唯一PMが普及していない」と危機感をあらわにするマイクロソフト エンタープライズ ソリューション本部 ナレッジソリューション部 小柳津篤部長は、普及しない理由を「リーダーシップを取れる人材がいないため」と言う。だが、CMMの普及によりPMP(Project Management Professional)資格取得者も増加傾向にあり、状況は改善してきていると同氏は見ている。実際、先月開催されたソフトウェア開発展でも、開発手法のUMLを取り入れたツールに高い関心が集まるなど、開発という作業そのものを見直す動きは高まっているといえる。

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