[Analysis]

東電グループと組み、IIJの野望は現実となるか?

2002/07/23

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 NTTによる事実上の寡占状態である国内のデータ通信市場を競争市場に変革させるべく、東電系企業との経営統合という絡め手を打ち出したIIJ社長の鈴木幸一氏。技術のIIJグループと規模の東電グループによるタッグはNTTの肝を冷やすのに十分な脅威を備えているといえる。

 そもそも鈴木氏は、寡占による市場成長速度の鈍化現象を痛切に感じていた。鈴木氏が本部員として参加する政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)での議論を、かつてこう表現したことがある。「彼らは何にもわかっちゃいない」。最先端の技術力は、ときに圧倒的な規模の前に屈することもある。

 技術力では絶対の自信を持つIIJという企業は、しかし、連結売上高で400億円弱の「ベンチャー企業グループ」の中心に過ぎない。

 「技術だけでは競争は促せない」ことを痛切に感じていた鈴木氏にとって、技術力を生かせる、ある程度のスケールは絶対に必要だった。その力を手に入れたとき、国内のデータ通信市場に巻き起こるであろう競争原理が、市場の成長を加速し、巡り巡ってIT戦略本部が推進する世界最高レベルのIT国家への道を切り開くのである。

 IIJ社長 鈴木幸一氏の野望は現実のものになるのだろうか?

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