[Analysis]

CRMはベンダのソリューションか?

2002/07/26

crm3.gif

 CRMベンダは、新しい技術を次々に取り入れ、最新バージョンの製品をリリースしている。電子メールの自動応答、Webサイトのレコメンデーション、電話からIMまでの複数チャネル対応のほか、Webサービスに対応して、システム間連携を重視する方向性も見せている。しかし、こうした最新技術を使いこなせるユーザー企業は、どれだけあるのだろうか?

 CRMという経営手法が重要なのは、論を待たない。しかし、CRMを巡る議論は錯綜(さくそう)している。ベンダもコンサルティング会社も、さまざまな説明でCRMユーザーを惑わせているかのようだ。

 ここでは乱暴にCRMのポイントを2つに絞り、問題点を分析してみよう。1つは顧客情報の分析、もう1つは顧客接点での部門間コラボレーションの実現だ。

 分析に関するCRMは、分析系CRMといわれる。ここでよく語られるのが、「潜在顧客の発見」や「優良顧客の絞込み」などだ。しかし、企業にとってどんな顧客が優良顧客なのかは、企業ごとにまったく異なる。過去の購入履歴や所得や年収だけが顧客分析の指標ではない。人間の性格や趣味性、経験、知識など何が指標となるのか、企業により異なる。これは自社が発見すべきことで、ユーザー側の課題だ。CRMベンダはこの点について何もできない。

 顧客接点間のコラボレーションに関しては、実行系CRMと呼ばれる。社内の各部門が同じ顧客に対して、別のアプローチをしないようにすることで、営業やサービスなどの効率を上げ、顧客満足度を高めるというものだ。これも、社内の部門間やビジネス・パートナーの間で、顧客に対して統一的な働きかけをするという意図や文化が必要だ。CRMシステムはこれを手助けするに過ぎない。

 CRMを実現するのにもっとも必要なのは、その会社にとってのCRMはどのようであるべきかという戦略と、それに対する全社的な理解と実行だ。CRMの先進ユーザーといわれる企業はこれを自分たちで切り開いてきた。そして、CRMに取り組んだ企業とそうでない企業の間に今後、さらに大きな差が出てくるだろう。

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)