[Analysis]

eラーニング普及のカギ

2002/07/30

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 eラーニングが世間で脚光を浴びて数年がたつ。調査会社は当初、eラーニング市場が急拡大するというバラ色の調査結果を出していたが、実際には、普及への道のりまではまだまだありそうだ。

 eラーニングへの風当たりは当初、ネットワーク環境(特に帯域幅)やITスキル関連以外のコンテンツが少ない、などに向けられていたが、それらの問題は次第に改善されつつある。企業が使用する回線価格の下落、個人でも利用できる価格でのブロードバンド環境(ADSLなど)の整備などによって、ネットワーク環境という課題は克服しつつある。また、コンテンツ面もそうした接続環境を前提とした動画などを駆使したものも増えている。確かに、研修設計の基本であるインストラショナルデザイン技法などに準拠したコンテンツが少ないといった、質的な問題は残されている。

 しかし、現在eラーニング導入最大の壁となっているのは、そうした問題ではないという。eラーニングにおける最近のソリューションは、eラーニングでの研修のほか、集合研修なども統合して管理するような、LMS(Learning Management System)の分野に移っている。そのLMS導入に関連してよく耳にするのは、「企業トップの考え方が変わらなければ導入には至らない」というものだ。

 現在、多くの企業は変革を迫られており、その中には従業員を激変するビジネス環境に短期間で適応させ、戦力化させていくことも含まれる。その実現にeラーニングを活用するのは、欧米では当たり前で、中国や韓国も導入に積極的だという。日本でもeラーニングが企業に普及するかどうかは、人材育成に消極的な企業トップの意識が変わるかどうかにかかっているようだ。

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