[Analysis]
Webブラウザをしのぐブラウザが現れる
2002/08/09
1999年に政府が、“2005年までに少なくとも3000万世帯が高速インターネットアクセス網に常時接続可能な環境を……”という「IT基本法」(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)を発表した当時、関係者を含む多くの人は、冷笑したのではないだろうか。だが、ADSLユーザーだけを見ても、ADSLの値下げ競争などによってブロードバンドユーザーは着実に増えており、実現不可能ではなくなってきた(なお、IDC Japanでは2005年のブロードバンドユーザー数は1618万に拡大すると予測している)。
ブロードバンドの普及が与える影響はさまざまだ。業界という切り口からみると、通信キャリア、メディア、配信、ITサービス、そして端末などの業界が関係することが予想される。例えば、大容量のコンテンツをいかにして安定的に配信するかといった点では、一部の配信事業社とITキャリアが共同で、CDN(Contents Delivery Network)という仕組みを推進するなどの動きも出始めている。
コンテンツそのものに関しては、CD-ROMなどのパッケージメディアの終えんがいわれているが、現時点で確実に認められるのは、メディアブラウザの台頭がある。IDC Japanが今年2月に実施したユーザーサーベイによると、「Windows Media Player」をインストールしていると回答したユーザーは71.2%。同ソフトウェアはPCにプリインストールされることが多いため、IDC Japanでは実際の所有率は8〜9割と見ており、東京・大阪・横浜の都市部におけるデータ転送速度が10Mbpsに達する2006年ごろに、Webブラウザを逆転すると予測している。
それでもTVと比較した場合、インターネットはいまだメジャーとはいえない新しいメディアだ。そのため、当分はコンテンツや広告などで事業の可能性を模索する期間が続きそうだ。
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