[Analysis]
認知から普及へと離陸し始めたASP
2002/08/16

ASP(Application Service Provider)がようやく、普及してきたようだ。アプリケーションを所有するのではなく、サービスとして利用するという新しいコンセプトとしてASPが登場して約3年。ITバブルの崩壊などもあって、時間の経過とともに忘れられていくように見えたASPだが、ユーザーの認識は確実に広まっていたようだ。
それを裏付けるものとして、ガートナー ジャパンが発表した市場動向予測がある。同社によると、今後年平均成長率(CAGR)46.2%で成長し、2006年の市場規模は、2001年度の377億円の6倍以上となる2525億円に達する見込みという。
社団法人 日本システムユーザー協会(JUAS)が昨年発表した調査結果によると、ASPを導入していると回答した割合は18%となっている。この調査結果で注目すべきは規模別内訳だ。当初ASPユーザーとして適しているとされた中・小企業よりも大企業の利用の方が多い結果となっているためだ。
ASP発祥の地である米国とは異なり、日本ではこれまで、SI事業者やITベンダがASPの推進役となってきたが、収益面ではまだまだ不確実なままだ。今後、ASP事業を発展させるためには、事業の収益性をASP事業単体で確実に確保していくことが必要だろう。そのためにサービス提供側は、ユーザーのすそ野を広げるとともに、提供するアプリケーションの見直しが必要とされるだろう。現在、ERPなどの業務アプリケーションからグループウェアまで、さまざまなものが提供されているが、主流のグループウェアでは価格競争に陥っていると指摘する関係者もおり、将来的にはアプリケーションのターゲットを絞った業務特化型が有望といわれている。
ASPがこれまでのITのあり方を変える画期的なモデルであり、認知されてきたのは事実だ。ASPの揺らん期は終わりそうだが、ASP事業が本格的に離陸するのはこれからといえそうだ。
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