[Analysis]
[Analysis] スタートに失敗したFOMAはIT業界すべての教訓
2002/10/22

NTTドコモが世界で初めてスタートさせた第3世代携帯電話「FOMA」が、この10月で開始1年を迎えた。NTTドコモは来年3月までに130万件の加入を目標としていたが、9月末で、わずか13万5700件と低迷している。FOMAはなぜスタートダッシュに失敗したのか。
FOMAが失敗した原因は、NTTドコモが最先端にこだわりすぎた点だ。ユーザーの多くは現状の携帯電話に満足していて、携帯電話が故障したり、魅力的なサービスが始まらない限り、携帯電話を買い換えようとは思わない。NTTドコモはFOMAにテレビ電話と高速データ通信という最先端技術を生かしたサービスを付加した。
しかし、この新サービスを実現するために携帯電話のサイズは巨大化、バッテリーの持ちは悪くなり、通話エリアは限られるなどデメリットが増えてしまった。最新機能を利用するために既存の機能が削られるという矛盾が起きたのだ。FOMAはこれでユーザーの支持を失ってしまった。ユーザーの支持がないサービスからは周辺のビジネスも生まれない。
携帯電話だけでなく、コンシューマ向け製品を利用するユーザーの多くは、最先端の機能に注目して、製品を使うのではなく、便利な機能を望んでいるだけだ。J-フォンの写メールが人気になったのも、最新技術を使っているからではなく、楽しいからだ。携帯電話が完全にコモディティ化した中で、ユーザーは最先端を望まない。
IT業界にとって、“最新技術”はユーザーの注目を集め、大きなアピールポイントになる。だが、ユーザーは技術的な不安定さを覚える。実際にNTTドコモはこれまで、2機種のFOAM携帯電話を不具合で回収している。盲目的に最新を目指してきたIT業界で、“最新技術”ということがデメリットになる日が来るのかもしれない。
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