[Analysis]

マイクロソフトはStarOfficeをつぶせるか?

2002/12/10

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 日本政府が電子政府や電子自治体で使うシステムにオープンソースソフトウェアを採用するよう検討し始めたことに続き、マイクロソフトにとって再びショックなことが起きた。ソニーが欧州で発売するデスクトップPCにサン・マイクロシステムズのオフィススイート「StarOffice」(日本国内では「StarSuite」)を採用することを決めたというのだ。ソニーはマイクロソフトの「Works」を採用していたが、来年発売する製品から順次、StarOfficeに切り替えていく方針。StarOfficeはマイクロソフトのMicrosoft Officeと互換性が高く、価格はOfficeに比べてずっと安い。

 Officeの代替製品としては、カナダ、コーレルのワープロソフト「WordPerfect」がマイクロソフトの「Word」の代わりとしてPCにプリインストールされるケースがある。

 PCベンダがマイクロソフトのOfficeの代わりにほかのオフィススイートを採用する背景は、市場で圧倒的なシェアを誇るマイクロソフト製品の価格の高さがある。PCベンダがPCの価格を値下げしようとしても、搭載するMicrosoft Officeの価格が高いため、ユーザーにアピールできるほどの低価格にできないのだ。しかし、Officeの代わりにStarOfficeなど低価格なオフィススイートをプリインストールすれば、PCの価格をこれまで以上に値下げできる。また、デルなど低価格を武器にするPCベンダにも立ち向かうことができるわけだ。

 マイクロソフトにとってOfficeは、Windowsに並ぶ稼ぎ頭。利益率が高いために、販売価格を下げるべきとの批判がある。しかし、単純にOfficeの価格を下げるのでは、常に勝者でいるマイクロソフトが自らの非を認めることになりかねず、その可能性は低そうだ。とはいえ、マイクロソフトが黙って、PCベンダのOffice代替製品採用の流れを見過ごすとは思えない。

 かつて高いシェアを誇ったジャストシステムの「一太郎」やロータスの「1-2-3」が、マイクロソフトのOfficeにシェアを奪われていったようなことが、マイクロソフト自身にも起きるのだろうか。 数年後のオフィス市場でも、マイクロソフトは相変わらず支配者であり続けているだろうか。

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