[Analysis]

NEC社長交代。で、富士通は?

2003/01/21

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 NECの代表取締役社長 西垣浩司氏が代表権のある副会長に、新社長には、NECソリューションズのカンパニー社長 金杉明信氏が3月28日付けで就任する。西垣氏の任期は2期4年。これを短いとするか、長いとするかにはさまざまな意見があるだろう。しかし、創業以来の大赤字を出した同社に改革の道筋をつけ、黒字転換(現時点ではまだ明言できないが)に導く手腕を発揮した段階での「退陣」は、勇退といってもよいのではないか。関本元相談役問題、総会屋疑惑など多くの「不良債権問題」が残っているとはいえ、まずは同社の素早い意思決定力を評価したい。

 それなりの人材がそろっているという点でも、NECはトップ交代の決断を下しやすい環境を持っているといえる。金杉氏の社長就任は以前からささやかれていたが、金杉氏でなくとも、社長の器といえる人材を何人か思い浮かべることができる。

 NECの素早い対応を見ると、自然と富士通の動きが気になる。いまだ赤字体質から抜け出せない同社のトップに君臨する秋草氏に代わり、新たなかじ取りができる人材は果たして同社にいるのか? そもそも、同社はトップ交代の「英断」を下すことができるのだろうか? できるとすればいつなのか? 現時点では、どれもこれも想像することさえ難しい。

 もちろん、社長交代を断行したNECが条件なしで優れているとはいえない。同社の改革路線はまだ始まったばかりであり、今後の金杉氏の手腕に、株式市場がどのような反応を示すのか、予断を許さない。楽天的なアナリストの予測では、2003年後半から2004年前半には、日経平均が1万4000円台にまで回復するらしいが、市場がその楽天的な予測にどこまで追随するか、材料はいまのところ見えてこない。このような不安定な状況を新しい風で吹き飛ばす実行力が欲しい。そういう意味でいうと、NECは英断を下し、富士通は旧態依然とし続けている、と市場は見るのではないだろうか。

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